英国の市中発症型および病院獲得型メチシリン感性黄色ブドウ球菌(meticillin-susceptible Staphylococcus aureus;MSSA)菌血症患者の 30 日死亡率
Thirty-day mortality in UK patients with community-onset and hospital-acquired meticillin-susceptible Staphylococcus aureus bacteraemia
M. Melzer*, C. Welch
*Barts Health NHS Trust, UK
Journal of Hospital Infection (2013) 84, 143-150
背景
市中発症型と病院獲得型の黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)感染症患者の死亡率の相違に関する研究はわずかであり、またそれらの結果は一貫していない。
目的
メチシリン感性黄色ブドウ球菌(meticillin-susceptible S. aureus;MSSA)菌血症の連続症例の 30 日死亡率、および市中発症型感染症と転帰との関連を明らかにすること。
方法
MSSA 菌血症患者の人口統計学的、臨床的、および微生物学的データを、2007 年 8 月から 2011 年 7 月に前向きに収集した。患者の追跡を死亡、退院、または感染症の回復まで行った。多変量ロジスティック回帰を用いて、市中発症型感染症と 30 日死亡率との関連を明らかにした。
結果
患者 392 例に合計 403 件の菌血症エピソードが発生した。全死亡数は 7 日後の時点で 44 例(11.2%、95%信頼区間[CI] 7.9% ~ 14.0%)、30 日後の時点で 101 例(25.8%、95%CI 21.5% ~ 30.4%)であった。30 日死亡率は市中発症型(256 例中 71 例、27.7%)と病院獲得型(147 例中 31 例、21.1%)の感染症患者の間に相違が認められた。感染性心内膜炎(14 例中 13 例、92.9%)、化膿性脊椎炎(13 例中 12 例、92.3%)、および皮膚・軟部組織感染症(71 例中 61 例、85.9%)は市中発症型のほうが発生頻度が高かったが、血管内留置カテーテル関連感染症(82 例中 60 例、73.2%)は病院獲得型が優勢であった。年齢、Pitt スコア、Charlson 併存疾患指数、特定の感染部位(皮膚・軟部組織、下気道、および末梢関節)、および適切な治療の遅延は、30 日死亡率と強く関連していた。年齢、Charlson 併存疾患指数、および適切な治療の遅延で補正した多変量解析では、市中発症型感染症と 30 日死亡率との間に強い関連が認められた(オッズ比 1.59、95%CI 0.91 ~ 2.80)。
結論
病院獲得型 MSSA 菌血症と比較して、市中発症型の感染症は 30 日後の転帰が不良であった。病院獲得型 MSSA 菌血症は異所性の感染症を引き起こすことはまれであり、医療器材との関連がみられることが多く、患者の転帰は良好であった。
サマリー原文(英語)はこちら
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