バイオクリーン手術室出入時の手術室スタッフの足元における空中浮遊粒子の拡散
Airborne particle dispersion around the feet of surgical staff while walking in and out of a bio-clean operating theatre
S. Sunagawa*, H. Koseki, C. Noguchi, A. Yonekura, U. Matsumura, K. Watanabe, M. Osaki
*Nagasaki University Graduate School of Biomedical Sciences, Japan
Journal of Hospital Infection (2020) 106, 318-324
背景
空中浮遊粒子による細菌汚染は、手術部位感染症(SSI)の病理発生における最も重要な因子の 1 つである。
目的
本研究は、手術室出入時の手術室スタッフの足元周辺における空中浮遊粒子の生成および挙動を明らかにすることを目的とした。
方法
層流装置を使用しているバイオクリーン手術室において、医師 2 名および看護師 2 名が、個人で、またはグループで出入した。空中浮遊粒子の生成および挙動を、微粒子視覚化システムを用いて撮影し、2.83 m3 あたりの空中浮遊粒子数をレーザー粒子計数器を用いて計数した。各行動を 5 回繰り返し、粒子数を統計学的に評価した。
結果
空中浮遊粒子の生成は、参加者が個人であるかグループであるかにかかわらず、床から、また参加者の靴およびガウンの裾から認められた。グループの出入により多数の空中浮遊粒子が生成され、特に 0.3 ~ 0.5 µm の大きさの粒子では、グループの場合の方が個人の場合よりも、手術台の高さまで達する数が有意に多かった(P < 0.01)。
結論
本研究の結果から、手術室を出入するスタッフの足元周辺における空中浮遊粒子の拡散および分布について、より明確な実態像が得られている。これらの結果は、細菌汚染の発生率ならびに SSI リスクを抑制するためには、手術室スタッフは無菌区域の近傍では、可能な限り、静かに独りで歩くようにすべきであることを示唆している。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
SSI の予防においては、手術室に出入りするスタッフの数を最小限にするといったことが以前から推奨されている。レーザー粒子計数機など、近年の新しい技術を用いて、さらに新しい知見が出てきている。やはり手術室では騒がしくしてはいけないようだ。
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