心臓手術中の皮膚の細菌再保菌および創汚染:プラスチック製接着ドレープ使用と素肌との比較のランダム化対照試験
Bacterial recolonization of the skin and wound contamination during cardiac surgery: a randomized controlled trial of the use of plastic adhesive drape compared with bare skin
K. Falk-Brynhildsen*, B. Söderquist, Ö. Friberg, U.G. Nilsson
*Örebro University Hospital, Sweden
Journal of Hospital Infection (2013) 84, 151-158
背景
心臓手術後の胸骨創感染症は重大な合併症である。手術創の細菌汚染を減少させるために、プラスチック製接着ドレープなどの種々の周術期対策がとられている。
目的
心臓手術施行患者を対象として、手術創の細菌増殖および術中の隣接皮膚の細菌再保菌までの時間を、プラスチック製接着ドレープを使用した場合と素肌とで比較すること。
方法
今回の単盲検ランダム化対照試験(2010 年 5 月 ~ 2011 年 5 月)の対象は、胸骨正中切開による心臓手術が予定される患者 140 例であった。患者を接着ドレープ群(胸部をプラスチック製接着ドレープで被覆)または素肌群にランダムに割り付けた。細菌サンプル採取を術前および術中の皮膚を縫合するまでの 1 時間毎に行った。
結果
0.5%クロルヘキシジン 70%アルコール溶液による消毒によりコアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CoNS)が減少したが、プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)保菌率は有意な低下が認められず、50%を超える皮膚サンプルの中に依然として存在していた。P. acnes は女性よりも男性に有意に多く認められた。皮膚の細菌再保菌の進行が 2 ~ 3 時間以内に生じた。120 分後の培養陽性率は、接着ドレープ使用群のほうが素肌群と比較して P. acnes(63%対 44%、P = 0.034)および CoNS(45%対 24%、P = 0.013)ともに有意に高かった。手術創の細菌増殖については、接着ドレープ群では手術終了時に CoNS 陽性率が高かったことが、唯一の統計的に有意な相違であった(14.7%対 4.4%、P = 0.044)。
結論
プラスチック製接着ドレープの使用により、細菌再保菌は減少しなかった。P. acnes 保菌は男性に高頻度に認められ、クロルヘキシジンアルコール溶液による消毒では減少しなかった。
サマリー原文(英語)はこちら
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