感染予防・制御の専門家の支援を図るための人材マネジメント:スコーピングレビュー
Human resource management to assist infection prevention and control professionals: a scoping review R. Ülgüt*, I. Tomsic, I.F. Chaberny, T. von Lengerke *Hannover Medical School, Department of Medical Psychology, Germany Journal of Hospital Infection (2024) 148, 145-154
感染予防・制御(IPC)の専門家は、病院管理者と最前線の職員との間の重要な仲介者である。新型コロナウイルス感染症のパンデミック時に、IPC 専門家は新たな課題に直面した。 残念なことに、パンデミック時およびパンデミック期間中の IPC を支援するための人材マネジメントに関する調査は不足している。したがって、本スコーピングレビューは、このような状況における人材マネジメント対策に関する既存の知見を明らかにすることで、医療施設のパンデミックに対する準備に寄与することを目的とした。このスコーピングレビューは、Network University Medicine における「PREparedness and PAndemic REsponse in Germany[PREPARED]」プロジェクトの一環として、Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-Analyses Extension for Scoping Reviews(PRISMA-ScR)のチェック項目を用いて実施した。PubMed を用いて、発表された期間の制限を設けず、2023 年まで検索した(フィルター:英語、ドイツ語)。2 名のレビュアーがそれぞれ、タイトル/抄録、全文を評価した。計 9 報の公表文献を対象とし、そのうち 8 報は米国で発表された。すべての文献で調査データが報告された(定量的データ:6 報)。人材育成および IPC 職員の資格取得を目標とする対策が、6 報(研究のほぼ 3 分の 2)で報告され、そのうち 5 報では IPC 専門家の業務に焦点が当てられた。その一方で、人件費の管理、報酬システムについては報告件数は少なく(3 報)、人材の確保、補償、免職についての問題に関しては 1 報のみであった。結論として、リサーチギャップは、IPC における人材マネジメントの実践と有効性に関する試験が挙げられる。IPC 専門家の不足の深刻化を考えると、パンデミックに対する準備を確立するために、パンデミック時およびパンデミック期間中の人材マネジメント対策がより重要になる。
監訳者コメント:
ざっくりといえば、感染対策領域の人材育成や人材確保に関する研究のレビュー。文章中では “human resource management (HRM)” という用語が使用されているが、一般企業を中心にこの領域の研究や取り組みはかなり進んでおり、医療や感染対策領域の遅れは否めない。より戦略的、理論的に取り組んで行く必要性を感じる。
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