洗面台の蛇口および出水の細菌汚染の Ecasol による制御:1 年間の研究

2012.04.29

Control of bacterial contamination of washbasin taps and output water using Ecasol: a one-year study


M.A. Boyle*, M.J. O’Donnell, A. Miller, R.J. Russell, D.C. Coleman
*University of Dublin, Trinity College Dublin, Ireland
Journal of Hospital Infection (2012) 80, 288-292
背景
汚染された洗面台の蛇口と出水は、院内感染原因菌の重要な発生源である。介入前の 5 週間の調査により、Dublin Dental Hospital の洗面台蛇口 15 か所からの温水と冷水は、好気性従属栄養細菌に著しく汚染されていることが一貫して示された。平均細菌数は、それぞれ 482.5(標準偏差[SD]293)コロニー形成単位(cfu)/mL、5,022(4,322)cfu/mL であった。
目的
電気化学的に生成される中性消毒薬 Ecasol を用いて、洗面台の蛇口と出水の微生物汚染を長期にわたって最小限に抑制すること。
方法
まず、冷水と温水を洗面台、温水器、および給水網に供給する 15,000 L の貯水槽を排水し、沈殿物を除去した。全体的な汚染およびバイオフィルムを除去するため、100 ppm の Ecasol によりこの給水システムのショック消毒を行った。その後、給水前の貯水槽内の水が Ecasol 濃度 2.5 ppm に自動的に維持されるように設定した。指標とする洗面台蛇口 5 か所からの出水の微生物学的水質を、R2A 寒天を用いて毎週 1 回、54 週間測定した。
結果
54 週間の研究期間中の平均細菌数(SD)は、温水1(4)cfu/mL、冷水2(4)cfu/mL、水道水 205(160)cfu/mL、貯水槽水 0 cfu/mLであった。3 回にわたる、のべ 40 か所の蛇口の検査では、33 か所のスワブサンプルは R2A 寒天で生育が認められなかったが、5 サンプルでは < 20 cfu/スワブ、2 サンプルでは > 200 cfu/スワブの菌が認められた。Ecasol による給水網への有害な作用は認められなかった。
結論
Ecasol により歯科医院の洗面台の蛇口と出水の細菌汚染が一貫して最小限に抑制された。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者注:
ショック消毒:高濃度・大量の消毒薬による短時間の消毒法。

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