市販の DNA マイクロアレイシステムを用いた基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ遺伝子の分布の調査

2011.12.31

Distribution of extended-spectrum beta-lactamase genes using a commercial DNA micro-array system


R.H.T. Nijhuis*, A.A. van Zwet, P.H.M. Savelkoul, E.A. Roovers, R.W. Bosboom, B. Postma, A.J. van Griethuysen
*Department of Medical Microbiology and Medical Immunology, Rijnstate, Velp, The Netherlands
Journal of Hospital Infection (2011) 79, 349-353
基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)遺伝子は世界中に分布しており、その疫学は複雑である。Check-ESBL 法を用いて、オランダ東部の 3 検査機関から得た好気性グラム陰性桿菌臨床分離株のクラス A ESBL 遺伝子分布を調査した。患者を以下の 4 カテゴリーに分類した。(i)集中治療室(ICU)入室患者(‘ICU’)、(ii)ICU 以外の入院患者(‘non-ICU’)、(iii)臨床分離株採取前 1 年以内の入院歴を有する外来患者(‘< 1’)、(iv)臨床分離株採取の 1 年以上前の入院歴を有する患者または入院歴のない患者(‘> 1’)。2009 年 2 月から 2010 年 3 月に、自動感受性検査システム Vitek2 または Phoenix により ESBL 陽性と推定された 491 分離株のうち 247 株(50.3%)から、Check-ESBL 法により ESBL 遺伝子が検出された。このうち 116 株は入院患者からのものであり(‘ICU’が35 株、‘non-ICU’が 81 株)、131 株が外来患者からのものであった(‘< 1’ が 43 株、‘> 1’ が 88 株)。全体で 247 分離株に 274 の ESBL 遺伝子が確認され、その内訳は CTX-M-1 型 153(大腸菌[Escherichia coli]および肺炎桿菌[Klebsiella pneumoniae]に優勢で、それぞれ70.4%、51.6%)、CTX-M-9 型 67(エンテロバクター・クロアカエ[Enterobacter cloacae]に優勢で57.9%)、SHV 型 32、TEM 型 14、および CTX-M-2 型 8であった。ESBL 産生 E. cloacae は、入院患者(20.7%)のほうが外来患者(3.8%)よりも有意に高頻度に分離された(P = 0.001)。CTX-M-9 型 ESBL は ICU 入室患者で有意に多く(P = 0.003)、SHV 型は入院患者のほうが外来患者よりも多かった(P < 0.001)。2 つの外来患者群間の ESBL 遺伝子分布には有意な相違はなかった。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

ESBL 産生菌は世界中に拡大しており、日本でもしばしば分離されるようになってきている。遺伝子型は多様であり、入院(病院)と関連の薄い株もみられ、その制御は非常に困難であるといえる。

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*University of California, USA
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