病院の清浄度のモニタリングのためのベンチマークの決定★

2011.01.31

Finding a benchmark for monitoring hospital cleanliness


D. Mulvey*, P. Redding, C. Robertson, C. Woodall, P. Kingsmore, D. Bedwell, S.J. Dancer
*University of Glasgow, UK
Journal of Hospital Infection (2011) 77, 25-30
本研究では、病院の清浄度の 3 つのモニタリング法を評価した。その目的は、汚染環境にある患者に対するリスク指標としてのベンチマークを決定することである。2 病棟の臨床環境表面 5 か所を対象として、洗浄剤による洗浄前後に視覚的モニタリング、ATP バイオルミネッセンス、および微生物学的スクリーニングを 4 週にわたり実施した。院内の定期的な清掃対象に指定されていないその他の 5 か所からも、試料を採取した。3 つの方法すべてについて、定期的なモニタリングに適した値を選択するために、それらの測定値を統合し比較した。視覚的評価は、ATP 値および黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)やメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)などの微生物叢による環境汚染を反映していなかった。微生物増殖レベルのカテゴリーと、選択したベンチマークよりも ATP が高値である割合との間には関連が認められたが、いずれも黄色ブドウ球菌または MRSA の存在の確実な予測はできなかった。ATP 値は、測定ごとに変動がみられることが多かった。洗浄剤を用いた洗浄によって有機物汚染レベルが 32% 減少したが(95% 信頼区間 16% ~ 44% 、P < 0.001)、指標としたブドウ球菌を確実に除去することはできず、その一部は洗浄後も生存していた。ATP のベンチマーク値を 100 RLU (相対発光量)とした場合に、微生物増殖レベルが 2.5 cfu/cm2 未満であることと最も強く相関した(受信者動作特性[ROC]曲線による感度 57%、特異度 57%)。結論として、微生物学的モニタリングと ATP 値のモニタリングにより、環境汚染および病院内の病原菌の存続を確認できること、および環境に対する現行の洗浄方法の効果を評価できることが示された。本研究により暫定的なベンチマークが明らかとなり、将来的には病院の清浄度の評価に有用であると考えられる。実用的な試料採取法および選択するベンチマークを改善するためには、さらなる研究が必要である。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
微生物学的モニタリングと ATP 値のモニタリングにより、環境汚染および病院内の病原菌の存続を確認できること、および環境に対する現行の洗浄方法の効果を評価できることが示されたことは大きい。さらなる検証が求められる。院内清掃業務における客観的指標としての有用性を示す結果として評価したい。

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*Kyung Hee University Hospital, Republic of Korea
Journal of Hospital Infection (2020) 106, 295-302

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