カテーテル関連血流感染予防のための抗菌薬含有カテーテルロック溶液:無作為化対照試験のシステマティックレビュー
Antibiotic-based catheter lock solutions for prevention of catheter-related bloodstream infection: a systematic review of randomised controlled trials
M. Snaterse*, W. Ruger, W.J.M. Scholte op Reimer, C. Lucas
*University of Applied Sciences, The Netherlands
Journal of Hospital Infection (2010) 75, 1窶・1
カテーテル関連血流感染は高率な疾患原因となっている。本システマティックレビューでは、抗菌薬含有ロック溶液のカテーテル関連血流感染予防効果を評価する。また副次的な目的は、カテーテル関連血流感染の減少を図るうえで最も有効な抗菌薬含有ロック溶液を明らかにすることである。2009年4月までの該当する試験をMedlineおよびCochrane Libraryで検索した。論文に記載されたデータを用いて、カテーテル関連血流感染の全相対リスクを算出した。本解析には適宜、同様のアウトカムのデータをランダム効果モデルを用いて組み入れた。16報の試験を本レビューの対象とし、このうち9報は血液透析患者、6報は癌患者(主に小児)、1報は重症新生児を対象とした試験であった。血液透析患者では留置期間は平均146日(範囲37~365日)であり、ベースライン時のカテーテル関連血流感染発生の平均リスクが1,000カテーテル日あたり3.0件であったことから、1件のカテーテル関連血流感染を予防するためには3例に抗菌薬含有ロック溶液処置を行う必要があった。癌患者では留置期間は平均227日(範囲154~295日)、ベースライン時の平均リスクが1,000カテーテル日あたり1.7件であったことから、治療必要患者数(NNT)として、1件の血流感染を予防するためには8例に抗菌薬含有ロック溶液処置が必要であると算出された。血液透析患者のカテーテル関連血流感染予防については、抗菌薬含有ロック溶液のほうがヘパリンロック溶液と比較して有効であることが示された。癌患者を対象とした試験では、推定効果は抗菌薬含有ロック溶液のほうが良好であったが、その有益性の有意水準は境界域であった。今回のレビューは、抗菌薬含有カテーテルロック溶液のルーチンの使用は推奨されないという米国疾病対策センター(CDC)の見解を支持するものである。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
抗菌薬含有ロック療法は我が国ではまだコンセンサスが得られておらず、普及もしていない。耐性菌抑止の観点なども含めてさらなるエビデンスの創出が必要な領域である。
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