パルボウイルスに対する消毒の有効性と他のウイルスとの比較★
Disinfection efficacy against parvoviruses compared with reference viruses
M. Eterpi*, G. McDonnell, V. Thomas
*STERIS SA R&D, France
Journal of Hospital Infection (2009) 73, 64-70
一部のウイルスには厳しい環境に耐えるものがあり、環境表面に残存して、長期にわたり感受性宿主への感染性を有する可能性がある。表面上の乾燥したウイルスに対する消毒薬の有効性に関する研究は限られており、特にパルボウイルスなどの、消毒薬に高度耐性を示すことが予想される、新規に同定された病原性非エンベロープウイルスを対象とした研究は少ない。この研究は、乾燥表面におけるブタパルボウイルス、マウス微小ウイルス(パルボウイルス)、ポリオウイルス1型、アデノウイルス5型、ワクシニアウイルスを対象として、加熱を含む一般的な消毒法の有効性を評価した。ブタパルボウイルスでは、一般的に非エンベロープウイルスに効果があるとされて、高水準消毒としても用いられる多くの消毒薬でも有効性は限定的であり、最も耐性の強いウイルスであることが判明した。エタノールはすべての非エンベロープウイルスに対して有効性が低かった。ボカウイルスやその他のパルボウイルスなどの新規病原性ウイルスによる院内感染を予防するためには、これらのウイルスに対する有効性が重要と考えられる。この研究により、乾燥表面におけるウイルスに対する消毒薬の検証の必要性が確認され、ブタパルボウイルスは特に耐性の高いウイルスとして検証に利用できることが示された。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
インフルエンザウイルスは環境表面でも8時間程度は感染力がある。特に乾燥表面ではウイルスの感染力が持続する可能性があり、さらに環境整備の有効性が評価されるべきである。
なお、ヒトに感染するパルボウイルスはパルボウイルスB19であり、伝染性紅斑(リンゴ病)を生じることで知られている。小児例では軽症であることが多いが、成人例では頭痛、筋肉痛、関節炎、などの多彩な症状が遷延することがあり、妊婦では胎児水腫、血液疾患例では骨髄低形成クライシスを合併することから、注意すべきウイルスである。
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