小児血液腫瘍部門の汚染された水道の蛇口に関連した緑膿菌およびPseudomonas putidaのアウトブレイク★

2007.01.31

Pseudomonas aeruginosa and Pseudomonas putida outbreak associated with contaminated water outlets in an oncohaematology paediatric unit


C. Aumeran*, C. Paillard, F. Robin, J. Kanold, O. Baud, R. Bonnet, B. Souweine, O. Traore
*Hopital Gabriel Montpied, France
Journal of Hospital Infection (2007) 65, 47-53
本稿では、2005年1月から4月に小児血液腫瘍部門で発生した緑膿菌およびPseudomonas putidaのアウトブレイクについて報告する。小児8例に緑膿菌(5例)またはP. putida(3例)による院内感染があり、菌の回収部位は中心静脈カテーテルの血液培養(4例)、カテーテルの出口部のみ(2例)、およびカテーテルの出口部と先端(2例)であった。その後の調査から、汚染された水道の蛇口が感染源である可能性が示された。看護業務および環境除染業務を調査したところ、2通りのカテーテルの汚染様式が明らかとなった。それは、出口部のカテーテル・ドレッシング材のサイズを小さくしたためにシャワーの際にカバーとしての保護性能が低下したこと、および水道水で希釈した洗浄・消毒薬が灌流ボトル(perfusion bottles)を汚染していたことである。Repetitive intergenic consensus PCR法により、2つのタイプの緑膿菌と1タイプのP. putidaが示された。水道設備を塩素消毒するとともに、すべての蛇口とシャワーに使い捨ての7日用のフィルターを取り付けた。塩素消毒は水道設備に対して有害な影響があること、およびフィルターを毎週交換するにはコストを要するため、微生物の管理がなされた水を生成する水ループを設置した。さらに、高リスク区域では、洗浄消毒薬の濃度を増加し、詰め替え型のスプレーをready-to-useの洗浄消毒薬に換えた。これらの対策を行った後、病棟の臨床標本および環境サンプルからPseudomonas属菌は分離されていない。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
現行の手指衛生のためのCDCガイドラインでは、詰め替え式の手指衛生石けんの使用を避けるよう勧告している。元来、こうした水石けんは100倍以上に濃縮され供給されているが、現場ではこれを薄めて使用する場合も多い。その際には防腐剤も希釈され、もはや防腐効果がなくなり、結果回路内では汚染菌増殖の温床となる。

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R. B. Newsom*, A. Amara, A. Hicks, M. Quint, C. Pattison, B.R. Bzdek, J. Burridge, C. Krawczyk, J. Dinsmore, J. Conway

*University of Portsmouth, UK

 

Journal of Hospital Infection (2021) 110, 194-200

 

 

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