手術室における麻酔薬調整時の微生物汚染予防:非接触性(Non-Touch)試験
Prevention of microbiological contamination of drugs during their preparation for anaesthesia in the operating theatre: the Non-Touch trial S. Tafelski*, S. Zeuch, R. Nagel, S. Spatz, B. Piening, C. Geffers, T. Adam, C. Spies, I. Nachtigall *Charité — Universitätsmedizin Berlin, Germany Journal of Hospital Infection (2026) 167, 238-243
背景
注射薬を調製し投与する際の無菌操作については、まだ十分に研究されていないが、不適切な取扱いが医療関連感染の大きな要因となっている。プロポフォールなどの脂質系製剤は、特に微生物汚染のリスクが高い。無菌的な 非接触性(Non-Touch)シリンジ調製法は、このリスクを軽減できる可能性があるが、まだ評価されていない。
目的
この研究は、手術室および集中治療室におけるシリンジ内製剤の汚染を低減する手順を開発し評価することを目的とした。
方法
前臨床試験および臨床試験において、計 950 本のシリンジを対象に無菌的な非接触性シリンジ(Non-Touch) 法を評価した。まず 450 本のシリンジに膜濾過と細菌培養を実施し、50 本の生理食塩水充填済みシリンジを陰性対照として使用した。さらに 150 本のシリンジについては、Bactec 血液培養分析を用いて追加検証した。次に臨床実験では、麻酔専門看護師が保存剤無添加のプロポフォール 300 本を調整し、培養前に 1 時間、2 時間、6 時間の保管時間を設けた。
結果
前臨床試験では、Non-Touch 法による汚染率は、培養で 0.67%(3/450本)、Bactecで 2.7%(4/150本)であった(オッズ比:4.1;調整済み95%信頼区間:0.67 ~22.34)。すべての陰性対照は無菌性を保った。臨床試験では、プロポフォール調整品 300 本のうち 2 本(0.67%)が汚染されていた。調製から培養までの時間を6時間まで延長しても、汚染率に影響はなかった。
結論
Non-Touch法は、実験室環境および臨床環境の両方で一貫して低い細菌汚染率(< 1%)を示した。さらに、プロポフォールシリンジはが調製後 6 時間以上無菌的に維持された。これらの結果は、日常的な麻酔および集中治療の場における注射安全性を向上させる実用的な戦略として、Non-Touch法の更なる評価を支持するものである。
監訳者コメント:
プロポフォールなどの脂肪製剤は微生物増殖のリスクが高いが国内でも医療関連感染の原因として注目されている。非接触性シリンジは薬剤を充填する際にシリンジの先端(円錐部)や吸引針が、環境、手、表面などに一切接触しないようにする方法で、医療安全向上に寄与できることが予想される。
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