熱に弱い医療器具に適した従来の感染性病原体とプリオン病原体の両者に対する新規の病院消毒法★

2009.08.31

New hospital disinfection processes for both conventional and prion infectious agents compatible with thermosensitive medical equipment


S. Lehmann*, M. Pastore, C. Rogez-Kreuz, M. Richard, M. Belondrade, G. Rauwel, F. Durand, R. Yousfi, J. Criquelion, P. Clayette, A. Perret-Liaudet
*Universite Montpellier 1, France
Journal of Hospital Infection (2009) 72, 342-350
変異型および散発性クロイツフェルト・ヤコブ病では特定の組織でプリオンが検出されるため、ヒト伝達性海綿状脳症(TSE)の病原体を医療器具に適した方法で効果的に汚染除去することが重要な問題となっている。著者らは以前、プリオンが銅(Cu)および過酸化水素(H2O2)に曝露されると切断を受けることを示し、この性質をプリオンの効果的な汚染除去法の開発に利用してきた。このアプローチの妥当性を検証するために、脳ホモジネートと鋼線による医療器具汚染モデルを使用して、実際のヒトおよび動物プリオンのin vitro検査を実施した。次に、ハムスター263 Kモデルで鋼線を用いてin vivo実験を行い、プリオンの感染性に対する効果を評価した。それぞれの実験後に、通常の病原体用の検査を国際基準に従って実施した。In vitroデータから、H2O2/Cuによる各種TSE株に対する汚染除去効果は十分なものであることが確認された。内視鏡消毒にCuと過酢酸を併用した場合にも、プリオンの汚染除去効果が向上することが示された。In vivo検査法からは、H2O2/Cu単独または洗浄剤との併用によるTSEの感染性に対する効果が示された(減少係数≧5.25 log10)。また、通常の病原体用の検査法では、各消毒法の消毒効果が確認された。まとめとして、本論文に示した新規の消毒法は、通常の病原体とプリオンの両方に有効であり、熱に弱い医療器具に適している。また、病院や臨床医の日常的な使用に適切であり、環境および医療従事者へのリスクを減少させる。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
プリオンの消毒滅菌対策は現場で困っていることの1つである。特に脳神経外科や眼科など、器械を使い捨てにできない領域では、本研究の有用性が期待される。

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