本当に清潔か? 病院の清浄度判定のための4つの方法の有効性評価★★
Is it really clean? An evaluation of the efficacy of four methods for determining hospital cleanliness
O. Sherlock*, N. O’Connell, E. Creamer, H. Humphreys
*Royal College of Surgeons in Ireland, Ireland
Journal of Hospital Infection (2009) 72, 140-146
効果的な病院清掃の重要な構成要素の1つとして、使用する方法の有効性のモニタリングがある。一般的に、清掃効果のモニタリング法として推奨されている手法は、視覚的評価である。本研究では、病院内表面の清掃効果を判定する4つの方法、すなわち視覚的評価法、化学的方法(ATP)、微生物学的方法(好気性菌コロニー算定法[ACC])、およびメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)検出を比較した。各試験法により許容可能または「清潔」と判定された割合は視覚的評価法93.3%、ATP法71.5%、好気性菌コロニー算定法92.1%、MRSA法95.0%であった。視覚的評価のみが、表面の清浄度または清掃効果の評価方法として必ずしも有効なものではなかった。スワブ標本120個の平均ATP値は清掃前612相対発光量(RLU)(範囲72~2,575)、清掃後375 RLU(範囲106~1,071)であった(基準として受け入れられている値は500 RLU)。微生物学的方法による算定値が低い病院環境では、ATPなどの化学的試験法を採用することで清掃効果に関するさらなる情報が得られると考えられるとともに、ATPにより得られた情報により、清掃の追加や清掃スケジュールの改定を要する環境表面の判定が可能となる。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
個人的には、ATPを用いた化学的評価法を環境清掃の指標に用いることに、強い違和感を感じている。ATPは確かに鋭敏に清浄度を評価することができるが、どれほど鋭敏に汚れを検出したとして、病原性を反映しているわけではないからである。人間自体は微生物のホストでもあり、環境中には無数の有機物が浮遊しているのに、それを半導体工場のレベルまで減らすことに、いったいどれほどの院内感染予防効果があるのであろうか? ただし、手術器械の洗浄工程を定期的に監査するために用いるのであれば、この方法は客観的で、簡便で、再現性も高く、理想的なツールである。同様の論文として、Journal of Hospital Infection (2008) 69, 156-163を参照されたい。
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