一般集中治療室におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染発生率および菌血症発生率の1996年から2008年にかけての低下★★
Decline in the rates of meticillin-resistant Staphylococcus aureus acquisition and bacteraemia in a general intensive care unit between 1996 and 2008
D.S. Thompson*, R. Workman, M. Strutt
*Medway Maritime Hospital, UK
Journal of Hospital Infection (2009) 71, 314-319
ICUにて採取された入室の際と毎週のスクリーニング培養、およびその他の培養の分析により、1996年から2008年にかけて、推定MRSA獲得率が75%低下したことが明らかになった。この期間を、新規ICUの開設(1997年12月)、2床の病室の増設(2001年1月)、全入院患者に対するスクリーニングを含むICUおよび病院全体での追加的感染制御策の実施(2006年12月)という3つのイベントに基づいて4期に分類した。ICUの1,000床・日あたりのMRSA獲得率は連続した各期間で段階的に低下し、それぞれ49.0件(34.4~63.6)、28.3件(21.7~34.9)、19.3件(16.3~22.3)、11.8件(7.3~16.3)となり、また1,000床・日あたりのMRSA菌血症発生率は2期目から4期目にかけて低下し、それぞれ7.6件(4.7~10.5)、3.7件(2.6~4.8)、0.4件(0~2.9)となった。しかし、菌血症に進展した保菌患者の割合は変化せず、また、その他の病原体による菌血症発生率はわずかに上昇した。2006年12月以降は、一般病棟からICUに入室した患者のMRSA保菌率は13.5%(11.6~15.4)から6.4%(4.0~8.8)に低下したが、これはICU入室前の1,000床・日あたりの獲得率が26.0件(22.7~29.3)から9.4件(6.0~12.8)に低下したためと考えられる。これらの結果から、新規ICUの環境改善とICU増設、および最近の感染制御策の変化が、いずれもICU内のMRSA獲得とその後の菌血症の減少に寄与したことが示唆される。院内の感染制御策の改善は、一般病棟のMRSA獲得の減少と関連した。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
MRSA獲得(=ほぼ「保菌」と同義)を減らすことにより、MRSA菌血症という生命に直結するアウトカムを減少させることができることを示した論文。一読の価値はある。
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