病室内の感染・保菌患者によるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の空気伝播

2009.03.31

Aerial dispersal of meticillin-resistant Staphylococcus aureus in hospital rooms by infected or colonised patients


JF. Gehanno*, A. Louvel, M. Nouvellon, J-F. Caillard, M. Pestel-Caron
*Rouen University Hospital, France
Journal of Hospital Infection (2009) 71, 256-262
本研究の目的は、呼吸器にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を有する患者が、病室の空気中にMRSA生菌をどの程度排出しているかを評価することである。また、患者からの距離が汚染レベルに影響するかについて評価した。気道にMRSAの保菌または感染がある患者がいる24病室で、MRSA選択寒天培地を用いて空気サンプルを直接採取した。サンプル採取は、患者の頭部から0.5、1、2~3 mの距離で2回ずつ行った。臨床分離株と環境分離株を、抗菌薬耐性パターンおよびパルスフィールド・ゲル電気泳動により比較した。MRSA株は24室中21室で分離され、その量は1~78 cfu/m3と幅があった。21室の各室に、患者から分離された臨床分離株と同一の環境分離株が1つ以上認められた。患者の頭部からサンプル採取者までの距離別のMRSA数に有意差はなかった。この研究により、気道にMRSAの感染または保菌がある患者のほとんどは、病室の空気中にMRSA生菌を排出していることが示された。この結果は、感染制御に関する勧告を改善するために、空気中のMRSAに対するより詳細な研究の必要性を強調するものである。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
MRSAの空気感染説を科学的に証明していく一環の研究である。一方で接触感染の際の菌量とエアロゾル感染の菌量と比較してどちらが優位に感染伝播に影響しているのか、対策の効果についても検証していく必要がある。

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