新生児集中治療室におけるリスク補正された病院感染サーベイランス:システマティックレビュー★

2008.11.30

Risk-adjusted surveillance of hospital-acquired infections in neonatal intensive care units: a systematic review


P. Phillips*, M. Cortina-Borja, M. Millar, R. Gilbert
*UCL Institute of Child Health, UK
Journal of Hospital Infection (2008) 70, 203-211
菌血症発生率を新生児集中治療室(NICU)間で比較することにより、効果的な感染制御が実施されている医療施設を特定し、その実践を他のNICUと共有することができる。公正な比較を行うには、乳児の感受性の差や感染症を引き起こす可能性のある侵襲的処置の強度の差異を施設間で調整して、感染症発生率をリスク補正する必要がある。NICU間の菌血症発生率比較のためのリスク補正法の調査を、発表文献のほかに、地域や国のNICU感染症モニタリングシステムについて実施した。1か所以上のNICUにおけるリスク補正した菌血症発生率の研究報告を特定するためPubMedとEMBASEを検索した。インターネット検索により西側先進国のNICU感染症モニタリングシステムを特定した。適格基準に合致した9件すべての研究において、リスク補正によりNICU間の菌血症発生率のばらつきは減少していたが、消失することはなかった。研究報告と地域モニタリングシステムのいずれも、乳児の感受性の補正については一般的に出生時の測定項目によって層別化されていた。NICU入室期間および侵襲的処置の補正には、延べ中心静脈カテーテル日数などの器材留置の日数に基づいた発生率の報告を使用していた。NICUにおける感染症モニタリングの方法にはばらつきがあった。出生時の測定項目の補正では乳児の感受性に関する入室期間の変動に対応することはできず、延べ器材留置日数の補正では当該器材を使用していない乳児のリスクが適切に反映されない。今後の研究では、NICU入室期間を通して、乳児全員のリスクのばらつきに対応すべきである。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
サーベイランスの結果はそれぞれの施設における継続的な質改善のための指標としては極めて重要であるが、施設間で比較しようとするとリスク調整が難しく、不用意に複数施設の結果を並べると数字が一人歩きしてしまう危険性がある。

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