心臓胸部手術における2つの手術時手指消毒法の使用時の微生物学的比較:擦式法とスクラブ法★
An in-use microbiological comparison of two surgical hand disinfection techniques in cardiothoracic surgery: hand rubbing versus hand scrubbing
C. Carro*, L. Camilleri, O. Traore, L. Badrikian, B. Legault, K. Azarnoush, C. Duale, C. De Riberolles
*Gabriel Montpied University Hospital, France
Journal of Hospital Infection (2007) 67, 62-66
心臓手術後の手術部位感染は合併症発生率および死亡率を増加させる。手術前の手指消毒の方法が感染リスクに影響を及ぼす可能性がある。本研究では、2003年2月から4月まで、擦式法とスクラブ法の微生物学的有効性を比較した。外科チームで擦式法とスクラブ法を2週ごとに交互に使用した。手指消毒前、直後、手術中の2時間ごと、および手術終了時に指先の押し当てによりサンプルを採取した。擦式法の受容性を質問票により評価した。外科手術の平均時間は、スクラブ法群259±68分、擦式法群244±69分であった(P=0.43)。手指消毒直後の細菌数は両群で同等であったが、手術終了時は擦式法群で有意に少なかった。2時間後、4時間後、および手術終了時に採取したサンプルの陰性率には、両群で差は認められなかった。手指消毒直後、手術中の2時間後と4時間後、および手術終了時の皮膚細菌叢の減少は擦式法群が優れていたが、その差は統計学的に有意ではなかった。手術前に、アルコール溶剤による擦式法に先行して、弱中性石けんによる手洗を実施した場合の手指細菌数の減少効果は、スクラブ法と同等である。これにより、手指消毒直後および長時間の心臓胸部外科手術終了時のいずれも細菌数が減少した。擦式法の受容性は優れており、従来のスクラブ法プロトコールの有効な代替手段と考えられる。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
わが国でのアルコール系手指衛生剤を用いた外科手術時手指衛生法の導入が進んでおり、こうした術式別の論文は、手指衛生法を変更する際の参考になる。これら論文の評価を行う際には処置手順の内容まで具体的に読んで解釈をする必要がある。
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