集中治療室患者におけるカルバペネム耐性Acinetobacter baumannii:定着、感染およびその予後に関する危険因子★

2007.03.31

Carbapenem-resistant Acinetobacter baumannii in intensive care unit patients: risk factors for acquisition, infection and their consequences


E.G. Playford*, J.C. Craig, J.R. Iredell
*Princess Alexandra Hospital, Australia
Journal of Hospital Infection (2007) 65, 204-211
カルバペネム耐性Acinetobacter baumannii(アシネトバクター・バウマンニイ;CR-AB)感染に関連する危険因子と臨床的および経済的影響を評価するために、集中治療室(ICU)で24カ月間の後向き症例対照研究を実施した。ICU入室患者1,431例中64例にCR-AB感染が認められ、それぞれの感染者につき対照2例をマッチさせた。CR-AB感染に関連する危険因子には、患者側の宿主因子のほかに、「保菌圧(colonization pressure)」(ICUの保菌患者の割合)やICUにおける感染前3カ月間の抗生物質の使用などのICU側の要素も認められた。保菌患者のCR-AB感染の危険因子は、輸血や「保菌密度」(CR-ABを保菌する身体部位の割合)などであった。マッチさせた対照と比較すると、CR-AB感染と独立した関連があったのは、病院における死亡率の増加(死亡率の差20%、95%信頼区間[CI]1~40%)、ICU入室期間の長期化(入室期間の差の中央値15日、95%CI 9~21日)、および入院期間の長期化(30日、11~18日)であった。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
日本国内では多剤耐性緑膿菌が問題となっているが、この論文でも取り上げられている耐性A. baumanniiは環境を介してアウトブレイクすることも報告されており、最も注意すべき耐性菌の一つである。

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