両側同時人工股関節全置換術および人工膝関節全置換術後の患者の転帰★★

2007.03.31

Patient outcomes after simultaneous bilateral total hip and knee joint replacements


K. Huotari*, O. Lyytikainen, S. Seitsalo
*National Public Health Institute, Finland
Journal of Hospital Infection (2007) 65, 219-225
両側同時人工関節置換術が1回の麻酔で実施される場合が増えている。この問題に関して全国的な院内サーベイランスシステムによる報告データはまだない。フィンランド病院感染プログラム(Finnish Hospital Infection Programme;SIRO)のサーベイランスデータの解析により、両側および片側の人工股関節全置換術および人工膝関節全置換術を受けた患者群について、深部手術部位感染率および死亡率を比較した。2001年から2004年に、合計8,201例の患者が9,831件の人工関節全置換術を受けた。人工関節を両側に挿入したのは7.2%であった(病院別範囲0.6~19.2%、手技別範囲5.2~9.9%)。両側置換術を受けた患者は片側置換術を受けた患者と比較して若齢で、男性が多く、またASA(American Society of Anesthesiologists)スコアが低かった。深部手術部位感染発生率は、両側および片側人工股関節全置換術、両側および片側人工膝関節全置換術で、それぞれ0%、0.5%、1.0%、0.9%であった。両側置換術後の深部手術部位感染は4例に認められ、すべて両側人工膝関節全置換術実施例であり、そのうち3例は2番目の手術部位であった。これらの3症例では、抗菌薬の単回予防的投与を切開の115、155、および218分前に実施していた(片側置換術での時間の中央値47分)。多変量解析によると、両側置換術は深部手術部位感染の独立した危険因子ではなかった。両側および片側人工股関節全置換術または人工膝関節全置換術の死亡率に差はなかった。本研究のサーベイランスデータは、両側同時置換術では、人工股関節全置換術および人工膝関節全置換術後の深部手術部位感染または死亡のリスクは上昇しなかったことを示している。しかし、両側置換術には抗菌薬の予防的投与に特化したガイドラインが必要であると考えられる。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
外科手術部位感染症を防止するために予防的抗菌薬投与は極めて重要であり、とくに投与のタイミングが問題視される。一般的には皮膚切開の際に手術部位で抗菌薬が十分な濃度に到達している必要があるが、この論文で紹介されているように複数の部位を同時に手術対象とする場合、投与のタイミングについて改めて検討する必要があると考える。

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