ケニアの医療従事者のB型肝炎に対する感受性:ワクチン接種促進のための新しい戦略
Susceptibility of healthcare workers in Kenya to hepatitis B: new strategies for facilitating vaccination uptake
R.M. Suckling*, M. Taegtmeyer, P.M. Nguku, S.S. Al-Abri, J. Kibaru, J.M. Chakaya, P.M. Tukei, C.F. Gilks
*Liverpool School of Tropical Medicine, UK
Journal of Hospital Infection (2006) 64, 271-277
B型肝炎ウイルス(HBV)感染は予防可能であるが、現在も医療資源の乏しい国の多くの医療従事者がリスクにさらされている。本研究の目的は、ケニアの一地域における医療従事者のHBV感染に対する感受性、および乳児を対象とした拡大予防接種計画(Extended Programme of Immunization;EPI)を医療従事者のB型肝炎ワクチン接種にまで拡大することの実現可能性について評価することであった。ケニアのティカ(Thika)地域の医療従業者を招聘し、予防接種状況および血液または体液への曝露について面接者記入式質問票に記入した。また、HBVに対する自然免疫またワクチンによる免疫を評価するために、参加者に血液検体の提供を依頼した。免疫のない全医療従業者にB型肝炎ワクチン接種を行った。前年に医療従事者の30%(168名/554名)が1件以上の針刺損傷の報告をしており、その年間発生率は医療従事者1名あたり0.97件であった。ワクチン接種歴のある医療従事者はわずか12.8%(71名/554名)であり、免疫またはHBs抗原のスクリーニングを受けた医療従事者はなかった。合計407名が血液検体を提供し、41%がHBc抗体陽性、4%が過去のワクチン接種によりHBs抗体陽性で、55%は免疫がなかった。222名が、EPIのインフラを通して供給されるワクチンの接種対象となった。自発的ワクチン接種を全コース実施した割合は、小規模の保健所92%、地域病院44%であった。本研究は、曝露率が高いと同時にワクチン接種率が低いアフリカの地域における医療従事者のB型肝炎ワクチン接種の重要性を実証している。医療従事者へワクチンを供給するために、小児の予防接種システムを使用することによって、高いワクチン接種率が達成できる可能性がある。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
同じ医療従事者でも、経済状況により予防可能な血液媒介感染症を阻止できないでいる現況が地球上には存在する。わが国でも病院サービス部門は委託業務の場合、B型肝炎ウイルスワクチンに関する情報すら知り得ていない方もおり、改善が求められよう。
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