オンタリオ州における入院患者を訪問する犬における人畜共通感染症病原体の保有率:感染制御における意義
Prevalence of zoonotic agents in dogs visiting hospitalized people in Ontario: implications for infection control
S.L. Lefebvre*, D. Waltner-Toews, A.S. Peregrine, R. Reid-Smith, L. Hodge, L.G. Arroyo, J.S. Weese
*University of Guelph, Canada
Journal of Hospital Infection (2006) 62, 458-466
犬が入院患者を訪問する治療は一般化しつつあるが、犬が医療現場に持ち込む潜在的な健康リスクについてはほとんど知られていない。このクロスセクショナル(横断)研究では、オンタリオ州全域の様々な地域から訪れる犬102頭における人畜共通感染症病原体の保有率を評価した。2004年5月から7月にかけて、飼主には標準化した質問票による聞き取り調査を行い、犬には標準的な身体検査を実施した。各犬から糞便1検体、被毛ブラッシング検体、および直腸、耳腔、鼻腔、口腔、および咽頭の各スワブを1検体づつ採取して、特定の18種類の病原体の検査を行った。すべての犬が良好な健康状態にあると診断された。人畜共通感染症病原体が犬102頭のうち80頭(80%)から分離された。主要な病原体はクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)で、58個の糞便検体(58%)から分離された。これらの分離株の71%(41/58)は毒素産生型であった。基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生大腸菌が1頭(1%)から分離され、基質特異性拡張型セファロスポリナーゼ産生大腸菌が3頭(3%)から、またサルモネラ(Salmonella)属菌も3頭(3%)から分離された。パスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)またはパスツレラ・カニス(Pasteurella canis)が29頭(29%)の口腔スワブから、マラセチア・パチデルマティス(Malassezia pachydermatis)が8つ(8%)の耳腔スワブから分離された。ジアルジア(Giardia)属抗原が7頭(7%)の糞に存在し、犬回虫が2頭(2%)、犬鉤虫が1頭(1%)で検出された。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、バンコマイシン耐性腸球菌、カンピロバクター(Campylobacter)属、ミクロスポルム・カニス(Microsporum canis)、A群レンサ球菌、緑膿菌、クリプトスポリジウム(Cryptosporidium)属は検出されなかった。これらの知見が感染制御に対して大きく影響するかどうかを適切に評価するためには、さらなる情報が必要である。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント::
論文タイトルに反して、調査結果の感染制御における意義については十分に議論されているとは言い難い。
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