感染予防・制御における人工知能およびデジタルヘルス技術の世界的な採用および準備状況:世界保健機関による世界的な調査★★

2026.07.18

Global adoption and readiness for artificial intelligence and digital health technologies in infection prevention and control: a World Health Organization global survey

S. Gastaldi*, G. Satta, E. Tartari, S. Mookerjee, B. Allegranzi
*Independent Researcher, Italy

Journal of Hospital Infection (2026) 173, 203-210

背景

人工知能(AI)やデジタルヘルス技術は、サーベイランス、意思決定、および職員の訓練の強化を通して、感染予防・制御(IPC)を強化することができる可能性がある。しかし、IPC の専門家によるそれらの利用や彼らが感じている有用性についての世界的なエビデンスは、依然として、限られている。

方法

世界保健機関(WHO)が組織した 2025 年 3 月 21 日から 4 月 17 日までのこの横断的オンライン調査は、IPC における AI で可能となる技術やデジタル技術に関係して、意識、採用、感じている有用性、障壁、促進因子について評価した。記述的解析では、項目に特異的な分母を使った。技術の使用の解析は現在の使用者に限定したが、意識に基づく解析には各項目に対して答えた回答者を全員組み入れた。リッカート尺度による有用性項目は、順序変数として、中央値と四分位範囲(IQR)を使って解析した。

結果

WHO の 6 つの地域から受け取った 444 件の回答のうち、441 件が解析に使用できた。回答者の大部分は、AI やデジタル技術をある程度知っていると報告したが、現在使用していると報告したのは 24.5%のみで、正式な訓練を報告したのは 6.8%であった。現在の使用者によって、最も頻繫に報告された技術は、IPC 研究用の AI に基づく解析、半自動のサーベイランスシステム、AI が支援する教育ツール、AI に基づく抗菌薬耐性検出ツールであった。感じている有用性は、概ね好ましいもので、評価した 9 つの応用のうち 8 つのスコアは中央値が 4(IQR、2)であった。環境の消毒はスコアがそれよりも低かった(中央値、3、IQR、3)。報告された主要な障壁は、訓練や技能の欠如(74.4%)、限られた資金(71.4%)、既存のシステムとの統合が難しいこと(43.3%)であった。

結論

IPC についてのこの世界的な調査で、AI で可能となる技術やデジタル技術についての意識と日常的な実施の間にはかなりのギャップがあることが分かった。好ましく感じられているにもかかわらず、採用は依然として限られている。これは、職員の能力、資金、システムの統合が実施における主要な制約であることをはっきりと示している。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント:

WHO が実施したオンライン調査により、IPC における AI およびデジタルヘルス技術の導入状況、有用性の認識、障壁および促進要因を評価した。AI 使用者は限定的ではあるが、IPC 研究の AI 解析、半自動サーベイランス、教育支援、薬剤耐性菌検出などで活用されている。AI に対する関心や期待はあるものの、人材、資金、システムの未整備が IPC への実装を妨げている可能性がある。

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