軟性内視鏡洗浄の質のアセスメント:ATP 生物発光アッセイおよび内腔の直接目視検査に基づく単一施設後向き研究

2026.07.18

Quality assessment of flexible endoscope cleaning: a single-center retrospective study based on ATP bioluminescence assay with direct lumen inspection

Y. Wu*, Y. Lin, H. Chen, J. Zeng, Q. Huang
*Operating Room, The Second Affiliated Hospital of Fujian Medical University, Licheng District, Quanzhou City, Fujian Province, 362000, China

Journal of Hospital Infection (2026) 173, 11-20

背景

標準化された再処理プロトコールがあるにもかかわらず、軟性内視鏡はその複雑なチャネル構造のために依然として汚染物が残存しやすい。現行の迅速モニタリング法、すなわち ATP 生物発光アッセイおよびチャネルの目視検査は、単独で用いられた場合は清浄度の包括的アセスメントにおいてそれぞれに限界がある。

目的

本研究の目的は、軟性内視鏡洗浄の質の管理における、チャネルの目視検査と ATP 生物発光アッセイを組み合わせた併用法の実施について評価することであった。

方法

2023 年 1 月から 2024 年 6 月にかけて、Fujian Medical University の Medical Center of the Second Affiliated Hospital から再使用可能な軟性内視鏡計 540 本を無作為に選択した。検出法に基づき、これらを 3 グループ、すなわち ATP グループ、目視グループ、および併用グループに各 180 本ずつ分けた。ATP グループには ATP 生物発光アッセイを、目視グループにはチャネルの目視検査を、併用グループには両方の検出法を実施した。軟性内視鏡の洗浄の質について、前処理前、前処理後、および洗浄後に評価した。

結果

ベースラインの汚染または前処理後のほとんどの結果に、グループ間に有意差は認められなかった(P > 0.05)。十二指腸鏡では擦り傷の発生率が最も高いことが示された(97.59%)。擦り傷は ATP 値と正の相関を示した。洗浄後、3 グループにおいてすべてのサンプリング部位で合格率に統計学的な有意差が認められた(P < 0.05)。併用法では 99.44%から 100%という合格率が達成され、これはいずれかの方法単独で達成された合格率より有意に高く(ATP のみ:89.44% ~ 94.44%、目視のみ:95.00% ~ 97.22%)、したがって基準に達しない内視鏡の使用はほぼなくなった。

結論

チャネルの目視検査と ATP 生物発光検出法の併用は、効果的な質の管理戦略として役立つ。併用法は基準に達しない内視鏡を同定する能力を高め、これにより臨床手技において汚染された内視鏡の使用を予防し、患者の安全を守る上で価値を有する可能性が示されている。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

軟性内視鏡の洗浄後評価では、ATP 測定と管腔内の直接観察を組み合わせることで、単独法より高い洗浄合格率が得られたとする単施設研究である。特に注目したいのは、管腔内の傷が 91%と高頻度にみられ、傷の程度と ATP 値が強く関連していた点である。ATP は有機物残留を素早く把握できる一方、傷や変色などの構造的異常は直接観察でなければ分からず、両者は補完的と考えられる。現場では、洗浄手順の遵守確認だけでなく、「洗浄しても汚染が繰り返される内視鏡に損傷がないか」という視点を持つことが重要である。ただし単施設の後向き研究で、培養検査や蛋白残留測定による確認もなく、感染予防効果そのものを示した研究ではない。ATP や管腔観察を日常的な再処理の質保証にどう組み込むかを考えるきっかけとなる研究である。

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