アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)病原体サーベイランスからアスペルギルス(Aspergillus)感染症サーベイランスへ
From Aspergillus fumigatus pathogen surveillance to Aspergillus disease surveillance R. van Grootveld*, M.T. van der Beek, J.B. Buil, A.F. Schoffelen, S.C. de Greeff, T. Bosch, M.G.J. de Boer, E.J. Kuijper, P.E. Verweij *Department of Infectious Disease Research, Diagnostics and Laboratory Surveillance, RIVM, National Institute for Public Health and the Environment, The Netherlands Journal of Hospital Infection (2026) 172, 53-61
目的
本研究では、サーベイランスを目的としてアスペルギルス(Aspergillus)感染症症例を検出および分類するために必要な真菌診断検査および臨床データを検討した。
方法
アスペルギルス感染症サーベイランスプログラムに関するこのパイロット研究は、オランダの 2 カ所の大学医療センターにおいて、National Institute for Public Health と共同して、2019 年のデータを用いて実施した。気管支肺胞洗浄(BAL)のアスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)培養、アスペルギルスのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、またはガラクトマンナン(GM)の免疫検査が陽性であった患者を、本研究の対象とした。データは臨床検査情報システムから後向きに収集し、電子カルテ(EPR)から臨床および治療データを補った。真菌検査および臨床データを用いて、疾患分類のための国際的定義(ゴールドスタンダードと考えられる)により症例を分類した。
結果
全体で、アスペルギルスの診断検査が陽性であった患者 89 例をコホートに組み入れた(培養陽性 53 例、PCR/GM 陽性のみ 36 例)。病原体により特定されたこれらの患者のうち、38 例(43%)が分類可能なアスペルギルス感染症を有した(培養陽性 24 例)。アスペルギルス感染症の 38 例中 32 例(84%)は、診断検査陽性と抗真菌治療の組み合わせが感染症を示すとみなした場合に検出された。EPR データを抽出した場合に、最も完全に近い検出および分類が得られた。
結論
アスペルギルス BAL 結果陽性および追加の抗真菌治療データによって、アスペルギルス感染症症例が適切に推定された。しかし、EPR データが最も正確な症例特定をもたらしたが、現時点では手動でのカルテ調査が必要であり、これは労力を要し、サーベイランスとしては実施可能性が低い。最小限の作業負荷で信頼度の高い症例分類ができるように、今後の研究において、EPR からの自動データ抽出のためのシステムに焦点を合わせるべきである。
監訳者コメント:
本研究はアスペルギルス症サーベイランスにおいて、気管支肺胞洗浄(BAL)液の培養、PCR、ガラクトマンナン(GM)の陽性結果に抗真菌薬治療データを組み合わせることで、症例選定の精度が大幅に向上することを示した。従来の培養のみに依存した病原体ベースの手法では症例の 37%を見落とすリスクがあり、臨床現場での真の疾病負荷を反映できない。より正確な病型分類には電子カルテ(EHR)の査読が不可欠であるが、手作業による抽出は多大な労力を要し、実務的な実現可能性が低い。今後はプライバシーに配慮しつつ、EHR から自動でデータを抽出するシステムの構築や、A I技術を活用した効率的な疾患ベースの監視体制の確立が求められる。
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