カルバペネマーゼ産生緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)保菌の後向き評価と追跡調査戦略の提案:blaVIM 優勢環境からの洞察

2026.04.14

Retrospective evaluation of carbapenemase-producing Pseudomonas aeruginosa carriage and a proposed follow-up strategy: insights from a blaVIM-dominant setting

A.C. Büchler*, C.P. Haanappel, I. de Goeij, C.H.W. Klaassen, M.C. Vos, A.F. Voor in ’t holt, J.A. Severin
*Erasmus MC University Medical Center, The Netherlands

Journal of Hospital Infection (2026) 170, 34-43

背景

カルバペネマーゼ産生緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(CPPA)保菌の消失を判定するための追跡調査戦略にはかなりのばらつきがあり、感染予防措置の中止を指示する、エビデンスに基づくガイダンスはない。

目的

本研究の目的は、保菌期間(DOC)、長期保菌のリスク因子、追跡調査スクリーニング陽性、CPPA 保菌の消失を確認するために必要なスクリーニング陰性の回数およびタイミングを検討することであった。

方法

本後向きコホート研究は、2010 年から 2023 年に積極的追跡調査を受けた成人 CPPA 保菌者を対象とした。積極的追跡調査では、2 か月に 1 回のスクリーニングが 6 回以上行われ、連続 6 回のスクリーニング陰性が CPPA 保菌の消失を示すとされた。Cox 回帰モデルを用いて、DOC 中央値を推定し、長期保菌のリスク因子を同定した。ロジスティック混合効果回帰モデルを用いて、追跡調査スクリーニング陽性に関連するリスク因子を同定した。

結果

患者 68 例を対象とし、うち 52 例が CPPA 保菌の消失を達成した。最大 DOC の結果の解析において、中央値は 606日(95%信頼区間 529 ~ 813日)、再発率は 11.5%であった。長期保菌のリスク因子は、臨床検体での最初の検出および初回追跡調査スクリーニングでの陽性であった。連続 5 回または 6 回のスクリーニング陰性という方針による偽陰性率は、それぞれ 13.5%、11.5%であった。

結論

長期 CPPA 保菌のリスク因子を有する患者においては、追跡調査の開始を最長 1 年延期することを検討すべきである。これによって、CPPA スクリーニングへのより経済的な取り組みが促進され、同時に患者の負担が最小限に抑えられる可能性がある。リスク因子を有さない患者では直ちに追跡調査を開始することができ、連続 5 回のスクリーニング陰性で十分であると考えられる。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

VIM 型 CPPA の保菌は中央値 608 日と長期化しやすく、臨床検体からの検出等は重要なリスク指標となる。本研究は、これまで十分なエビデンスがなかった接触予防策の解除基準に対し、5 回の連続陰性確認という具体的かつ妥当な基準を提示した。高リスク例には最大 1 年の検査猶予を置く個別化戦略が、医療資源の適正化と患者負担の軽減に寄与する。解除後も 11.5%で再燃が認められるため、再入院時の監視継続など慎重な対応が不可欠である。本知見は、科学的根拠に基づいた合理的な感染管理プロトコルを策定する上で、参考になるだろう。

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