イングランドにおける血流感染症の全国サーベイランスを中央で実施するシステムの現在の地域サーベイランスとの比較による可能性評価(2023 年から 2024 年)

2026.03.07

The potential of a centrally implemented system for national surveillance of bloodstream infections in England, compared to current local surveillance, 2023—2024

J. Cregan*, O. Nsonwu, D. Chudasama, S. Hopkins, B. Muller-Pebody, R. Hope, C. Brown, D.W. Eyre, T.P. Quan, A.S. Walker
*University of Oxford, UK

Journal of Hospital Infection (2026) 169, 5-14

背景

イングランドにおける菌血症の義務的報告は、現在は地域で急性期病院群によって実施されている。日常的に収集されるデータの二次使用により、代替的方法が得られる可能性がある。

目的

現在の地域における手作業でのサーベイランス法を、中央で実施する自動の代替法に置き換えることの望ましさを評価した。

方法

イングランドにおいて 2023年 4 月から 2024 年 3 月までに、義務的サーベイランスの下で、急性期病院群により提出された個々の菌血症症例(地域実施サーベイランス)と、日常的に収集される菌血症に関する臨床検査および受診記録を関連付けることによって特定された菌血症症例(中央実施サーベイランス)の一致度を比較した。症例特定の一致度と、患者識別コード、場所、入院時の特徴および感染源に対応する 17 のデータフィールドの完全性および一致度を検討した。

結果

全体として、地域で特定された菌血症 73,807 例中 71,556 例(97.0%)に対し、中央で特定された 72,883 例中 71,556 例(98.2%)がマッチした。不一致は、主に特定の病院群に限られていた。マッチした菌血症 71,556 例中 1,941 例(2.7%)のみで、指標検体採取日が 2 日以上異なった。不一致のほとんどは、検査機関 1機関から生じていた。中央で特定された菌血症の 97.9%が、受診と関連付けられた。中央で生成されたメタデータフィールドは、地域で報告されたフィールドと比較して完全性は同程度またはより高く、感染源のフィールドについては完全性がはるかに高かった。一致度は全体としては高かったが、データフィールドの種類によって異なり(電子情報源からの特定がより困難なものもあった)、報告を行う組織間でより顕著に異なった。

結論

データの供給と質を継続的に監視すれば、イングランドにおける菌血症に関する中央実施サーベイランスは可能であり、医療関連感染症を減少させるためのより幅広くより深い情報をもたらすと同時に、地域の病院群の負担を軽減すると考えられる。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

英国の血流感染症サーベイランスにおける手動報告と電子カルテ等からの自動抽出(中央集中監視)を比較した結果、97%以上の高い一致率が確認された。中央集中監視は患者属性や感染源のデータ欠損を大幅に改善する利点がある。一部施設で見られた MRSA 等の誤分類は、継続的なデータ品質管理で十分改善可能である。段階的導入を前提とすれば、中央集中監視は医療現場の負担を軽減しつつ、より網羅的で高精度な感染症サーベイランスを実現する極めて有望な代替手段である。

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