軟性内視鏡における過酢酸残留物の現状の調査と影響を及ぼす因子の解析
Investigation of the current status of peracetic acid residues in flexible endoscopes and analysis of influencing factors S. Zhu*, Q. Wang, J. Hu, X. Chen, M. Hendi, L. Tong *Zhejiang University School of Medicine, China Journal of Hospital Infection (2026) 168, 178-182
目的
中国浙江省にある 3 次病院の内視鏡検査センターにおいて、軟性内視鏡の自動洗浄消毒後の過酢酸残留物を評価し、残留量に影響を及ぼす因子を解析し、消毒手順を標準化するための基礎を提供した。
方法
中国浙江省にある 3 次病院の内視鏡検査センターにおいて、2025 年 5 月から 6 月に横断的調査を実施した。2 種類の自動洗浄消毒装置を用いて洗浄・消毒を行い、消毒薬使用 1、3、5 および 7日目の最終すすぎと乾燥の後に、胃内視鏡および大腸内視鏡の内腔から試料を採取した。特異的な消毒薬濃度分析計を用いて、内腔内の過酢酸残留物の濃度を測定した。
結果
本研究では合計 279 本の消化管内視鏡を調査した。消毒薬使用 1日目には、装置 A および B を用いて処理された内視鏡内の残留物はそれぞれ 7.36 ± 4.07 mg/L および 17.08 ± 26.11 mg/L であった(t = -2.018、P = 0.047)。耐用年数 1 ~ 3 年の内視鏡内の残留物は 5.24 ± 6.16 mg/L、耐用年数 3 ~ 5 年の内視鏡内の残留物は 16.72 ± 25.94 mg/L であった(t = 2.375、P = 0.020)。消毒薬使用 3 日目には、装置 A および B を用いて処理された内視鏡内の残留物はそれぞれ 4.68 ± 3.32 mg/L および 7.03 ± 4.09 mg/L であった(t = -2.436、P = 0.018)。耐用年数 1 ~ 3 年の内視鏡内の残留物は 4.32 ± 1.61 mg/L、耐用年数 3 ~ 5 年の内視鏡内の残留物は 7.35 ± 3.72 mg/L であった(t = 3.783、P < 0.005)。消毒薬使用 5 日目には、装置 A および B を用いて処理された内視鏡内の残留物はそれぞれ 3.97 ± 1.83 mg/L および 5.49 ± 3.37 mg/L であった(t = -2.554、P = 0.013)。耐用年数 1 ~ 3 年の内視鏡内の残留物は 2.49 ± 1.35 mg/L、耐用年数 3 ~ 5 年の内視鏡内の残留物は 6.28 ± 3.20 mg/L であった(t = 5.339、P < 0.005)。消毒薬使用 7 日目には、装置 A および B を用いて処理された内視鏡内の残留物はそれぞれ 3.28 ± 2.51 mg/L および 5.25 ± 2.42 mg/L であった(t = -3.272、P = 0.002)。耐用年数 1 ~ 3 年の内視鏡内の残留物は 2.38 V ± 1.16 mg/L、耐用年数 3 ~ 5年の内視鏡内の残留物は 5.44 ± 3.36 mg/L であった(t = 4.123、P < 0.005)。
結論
胃内視鏡と大腸内視鏡の両方で過酢酸残留物が検出され、2 種類の装置間で差は認められなかった。洗浄消毒装置のすすぎ時間が長い方が残留量は少なかった一方、内視鏡の耐用年数が長い方が残留量は多かった。内視鏡洗浄消毒後の過酢酸残留物は、自動洗浄消毒装置のすすぎ時間と内視鏡の耐用年数の両因子に影響を受けることから、臨床管理者は、内視鏡のすすぎ時間を延長し、内腔の摩耗を減らすことによって、残留を最小限に抑えられることが示唆される。
監訳者コメント:
本研究は軟性内視鏡洗浄後の過酢酸残留が機器のすすぎ時間と使用年数に依存することを示した。残留過酢酸は粘膜損傷や化学的腸炎を惹起し患者リスクとなる。安全基準が未確立な現状では、管理者はすすぎ時間の延長と経年劣化管腔の厳格な監視を行うべきである。今後は多施設検証を通じた標準的検査法と安全基準の確立が急務である。
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