培養および分子法を用いたアウトブレイク中の病棟下水からのカンジドザイマ・アウリス(Candidozymaauris、旧称カンジダ・オーリス[Candidaauris])の検出★★

2026.01.10

Detection of Candidozyma (formerly Candida) auris from ward wastewater during an outbreak using culture and molecular methods

H.C. Davidson*, A-E. Griffin, L. Symes, K.G. Laing, A.A. Witney, K. Gould, P. Allebone-Salt, O. Abadioru, S.D. Goldenberg, J.A. Otter, R. Wake, T. Bicanic
*City St George’s University of London, UK

Journal of Hospital Infection (2026) 167, 199-203

背景

カンジドザイマ(カンジダ)・オーリス(Candidozyma [Candida] auris)は、長期に及ぶ費用のかかる病院アウトブレイクを引き起こす多剤耐性真菌病原体である。従来の患者レベルのスクリーニングは、多大な資源を必要とし、費用対効果は高くない場合がある。下水サーベイランスは、実際的な病棟レベルでの早期検出法となる可能性がある。

目的

病院アウトブレイクの進行中に、病棟下水において C. auris を高い信頼度で検出できるかどうかを検討した。また、培養および PCR ベースの下水法の性能を、患者レベルの保菌スクリーニングと比較した。

方法

2024 年 8 月から 9 月の、英国の病院における C. auris アウトブレイクの進行中に、対応する病棟の汚物処理室 12 カ所の検体採取とともに、点有病率調査を実施した。下水グラブサンプルと、汚物処理シンク、マセレーターおよび手洗い用シンクの環境スワブを、直接培養および増菌培養により調査するとともに、遠心分離されたペレットを用いた AurisID®リアルタイム PCR 法により検討した。マッチさせた患者分離株と下水分離株において全ゲノムシークエンシングを行い、遺伝的関連性を評価した。

結果

病棟における C. auris 患者 1 例以上の検出を基準として、培養の感度は 75%(95%信頼区間[CI]35 ~ 97%)、特異度は 100%(95%CI 40 ~ 100%)であった。AurisID® PCR の感度は 100%(95%CI 63 ~ 100%)、特異度は 75%(95%CI 19 ~ 99%)であった。全ゲノムシークエンシング解析により、下水分離株と患者分離株のクラスタリングおよびクローン性が示された(一塩基多型[SNP]差が 10 未満)。

結論

培養および PCR を用いて病院の病棟下水から C. auris を初めて検出したことを報告する。病棟下水のスクリーニングは、有病率が低い環境において、個別患者スクリーニングに代わる高感度で費用対効果の高い選択肢となり、より早期の病棟レベルでの検出を助ける可能性がある。前向きの縦断的研究が必要である。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

カンジドザイマ・アウリス(Candidozyma auris)は、2009年に日本から初めて報告されたカンジダ属の真菌である。主に接触感染によりヒトの皮膚・その他の部位に定着したこの菌がベッドレール、ドアノブ、血圧計などの医療環境表面などを介し伝播する。本論文は、このカンジドザイマ・アウリス(Candidozyma auris)を「病棟の下水」から初めて検出したことを報告した論文である。

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