蛍光発光を用いて院内清掃の有効性を評価する:概念検証研究およびATP検査との比較★★

2025.12.13

Assessing the effectiveness of hospital cleaning using fluorescence: a proof-of-concept study and comparison with ATP testing

S. Fieldhouse*, B.B. Bastaki, A. Ledgerton, P. Clarke, T. Lewis
*University of Staffordshire, UK

Journal of Hospital Infection (2025) 166, 38-45

院内清掃の評価を行う際に目視検査が用いられるが、それは目に見える汚染は健康リスクを表し、ケアの質の認識に影響を及ぼす可能性があるためである。問題となるのは、多くの汚染物は肉眼では見ることができず、目視検査の信頼性は限られていることである。しかし、目に見えない多くの物質は蛍光を発する(すなわち、電磁放射の吸収後に目に見える光を発する)。ポータブルトーチによりその場に存在する蛍光物質を検出でき、清掃実践を強化する方法となる可能性がある。

本研究では蛍光発光について、病院洗浄後の目に見えない一般的な汚染を同定するツールとなるかを評価した。国民保健サービス(NHS)の病院 2 施設における患者の個室 7 室および 6 床の病室 2 室にて、目視にて清潔な表面を高輝度の青色および紫外線を用いたポータブルトーチを用いて検査した。蛍光発光領域および非発光領域のアデノシン三リン酸(ATP)レベルを、標準的な洗浄モニタリングツールと見なし、ウィルコクソンの符号順位検定を用いて統計学的に解析した。

肉眼では見えずに蛍光を発する汚染がすべての表面で認められた。ATP 相対発光量(RLU)のレベルは、蛍光を発する物質のほうが蛍光を発しない物質より有意に高く(P ≦ 0.05)、患者用の椅子、ベッドフレーム、オーバーベッドテーブル、ベッドサイドの備品および枕では大きな効果量が認められたが、トイレ、シンクまたはポータブルトイレでは効果量は小さかった。RLU の平均測定値は、蛍光が認められた領域では 161 RLU であったのに対し、対照領域では 33 RLU であった。

蛍光発光により、ヒトにとって有害な毒性リスクとなり得るさらなる汚染、例えば、蛍光発光成分を含むことの多い洗浄液および/または薬剤で汚染された残留物が検出された。これは、ATP 検出のみに頼ることでかなりの汚染リスクを見逃す可能性があることを示す重要な結果である。蛍光測定法が清掃において有用であることを評価するために、今後の研究が推奨される。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

環境整備のなかでも清掃は最重要課題であり、その評価はこれまで目視や ATP 測定により行われてきたが、耐性菌を含む感染症の病原体は目に見えず、目視だけでは十分でないことは判明している。日常的に ATP 測定による有機物残存の評価を実施するには手間と費用面を含め非効率的であり、UV を含む蛍光による評価はこれらの欠点を補うものではある。しかしながら、すべての汚染が蛍光を発するわけではなく、蛍光物の特定ができないなどの弱点もあり、清掃後の評価はこれらの 3 つの方法をうまく組み合わせながら、実施することが望ましい。

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