医療施設のトイレで生存している微生物叢は何か?★★
What is the viable microbiome of the healthcare toilet? C. Aumeran*, L. Hamilton, L. Jamieson, E. Speake, S.J. Dancer *3IHP, CHU Clermont-Ferrand, France Journal of Hospital Infection (2025) 165, 48-56
背景
病院の水洗式トイレは、障害者用や男女共用を含め、スタッフと患者に対応している。男女共用トイレの最近の導入では、異なるトイレの設備間における微生物学的リスクの可能性が浮き彫りにされている。
目的
本研究は、医療施設のあらゆる種類のトイレにおいて培養可能な微生物叢を確立することを目的とした。
方法
多施設縦断研究において、定量的および定性的な微生物学的方法を用い、系統的なサンプリングを行った。病院 3 施設において、男性・女性のスタッフと患者、男女共用および障害者用トイレの手指接触部位、低位置部位(床)、および高位置部位(天井)のスクリーニングを行った。好気性コロニー数(ACC)の測定、ならびに主要病原体(黄色ブドウ球菌[Staphylococcus aureus]、腸内細菌目細菌、腸球菌、ステノトロホモナス、アシネトバクターおよび真菌)の同定を行った。病原細菌に対して抗菌薬感受性試験を行った。
結果
予想した環境および皮膚細菌叢が、すべての部位で認められた。バイオバーデンが最も高かったのは床であり、次いでわずかな差で天井であった。手指接触部位は、すべてのトイレにおいて最も清潔であり(< 2.5 cfu/ cm2、P = 0.003)、女子トイレのほうが男子トイレよりも清潔であった(P = 0.008)。全体で最もバイオバーデンが高かったのは男女共用トイレであり(> 12 cfu/ cm2)、次いで男子トイレが高かった。高位置部位の微生物叢は、低位置部位の床とほぼ同じであった。病原細菌は、耐性菌も含め、病室の床に集中的にみられ、分離株の80%は ACC > 2.5 cfu/ cm2 であった。ステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)8 株中 7 株は男女共用トイレで回収された。黄色ブドウ球菌は、男性スタッフの手指接触部位、ならびに障害者用トイレで多かった(それぞれ P = 0.02 および P < 0.001)。
結論
洗浄の頻度は、より高いバイオバーデン(男女共用)および病原体リスク(病室のトイレ)に応じて決定すべきである。床と天井で類似の微生物叢が認められたことから、トイレの水を流す時にエアロゾル化が生じていることが示唆される。本研究のデータは、トイレのデザイン、用途、および汚染除去の実践のための情報を提供するためのエビデンスとなる。
監訳者コメント:
フランスからの報告。キャッチーなタイトルで、読み手の興味を誘う。トイレの床と天井が特に汚染していることから、トイレのフラッシュ時のエアロゾル化が原因と考察されているが、日本の水跳ねしにくいサイホン式トイレについても同様の結果が得られるのか非常に興味がもたれる。
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