世界保健機関の新たな感染予防・制御に関する国際的フレームワークのための指標と目標を特定する:e-デルファイ法を用いた研究
Identifying indicators and targets for the new World Health Organization Global Framework on Infection Prevention and Control: an e-Delphi study G. Satta*, P. Rogers, J. Bana e Costa, E. Tartari, A.F. Santos, P. Bischoff, J. Storr, L. Cihambanya, A.P. Coutinho Rehse, I. Heweidy, Z. Li, P. Ramon-Pardo, A.S. Shah, M.L. Grayson, B. Allegranzi *World Health Organization, Switzerland Journal of Hospital Infection (2025) 165, 181-188
背景
世界保健機関(WHO)は最近、感染予防・制御(IPC)に関するグローバル・アクション・プラン(GAP)およびモニタリングフレームワーク(MF)を策定した。IPC MF の指標と目標についてコンセンサスを得るための協議プロセスの一環として、e-デルファイ調査を実施した。
方法
本研究は、e-デルファイ法を用いたコンセンサス探索作業として実施し、2 ラウンドの連続する調査を行った。第 1 ラウンドでは、各指標および目標を 5 ポイントリッカート尺度で評価するよう参加者に依頼した。第 2 ラウンドでは、コンセンサスに達しなかった指標および目標を再評価するとともに、すべての指標および目標に優先順位を付けるよう依頼した。「コンセンサス」とは、回答の 70%超が尺度の最も肯定的な領域と 2 番目に肯定的な領域に収まり、同時に最も否定的な領域と 2 番目に否定的な領域に入る回答が 5%未満である場合と定義した。
結果
全体で 86 か国の代表者と 63 か国の専門家が、最初の IPC MF 案の作成に参加した。e-デルファイ調査では 394名に参加を呼びかけ、回答率は第 1 ラウンドで 36%(394名中 142名)、第 2 ラウンドで 69%(142名中 98名)であった。第 1 ラウンドに含まれた指標 134項目および目標 27 項目のうち、1 項目を除くすべてがコンセンサスに達し、16 項目で不一致度が 5%を超えた。第 2 ラウンドでは、3 項目の指標が却下され、参加者は国際目標上位 10 項目および国別目標上位 5 項目を順位付けた。調査では、IPC サーベイランスの改善が強く支持された一方、研究は、他に競合する優先事項があるために順位が低かった。
結論
IPC の進捗を追跡するためにすべての国でモニタリングすべき指標および目標の提案について、強固なコンセンサス形成プロセスを通して高い一致度が達成された。WHOのIPCに関するグローバル・アクション・プラン(GAP)およびモニタリングフレームワーク(MF)は、2024 年 5 月に開催された第 77 回世界保健総会においてすべての国に採択された。
監訳者コメント:
デルファイ法は、米国ランド研究所で開発された研究手法である。特定のテーマに対して多数の専門家に意見を求め、得られた回答を統計的にまとめあげる。e-デルファイ法は、この「デルファイ法」という調査手法をインターネットやオンラインツール(電子メールなど)を使い実施する方法のことである。
ポイントリッカート尺度とは、回答者の意見や態度を数値で評価する方法。例えばこのうち「5 段階尺度法」では、①非常に同意する、②やや同意する、③どちらでもない、④あまり同意しない、⑤全く同意しない、のように、中心に「どちらでもない」という中立的な選択肢を設けている。
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