低温大気圧プラズマと汚染除去:病院感染の予防に役立つか?
Cold atmospheric pressure plasma and decontamination. Can it contribute to preventing hospital-acquired infections?
N. O’Connor*, O. Cahill, S. Daniels, S. Galvin, H. Humphreys
*National Centre for Plasma Science and Technology, Ireland
Journal of Hospital Infection (2014) 88, 59-65
医療関連感染症は、欧州だけでも年間約 450 万人の患者が罹患している。「多剤耐性」微生物の増加が続いているため、感染予防・制御策の重要な要素として、より効果的な新たな環境汚染除去法の探索が行われている。その 1 つが、医療施設における低温大気圧プラズマ(CAPP)システムの臨床使用である。CAPP は抗菌、抗真菌、抗ウイルス作用を有することが示されているが、臨床医学分野ではこの 10 年間にその他の目的で利用されてきた。CAPP は、プラズマ生成機序の相違(プラズマジェット、誘電体バリア放電など)によって、その物理的・化学的特性が異なる。CAPP システムは、陽イオンや陰イオンおよび活性原子・分子(原子状酸素、オゾン、スーパーオキシド、窒素酸化物など)などからなる活性種の「カクテル」、強力な電磁場、および紫外線を生成する。これらのイオン類が微生物、皮膚、血液、および DNA に及ぼす作用の研究が行われ、その結果、表面汚染除去、創傷治癒、バイオフィルム除去、さらには癌治療など、CAPP の様々な実用化可能性が明らかにされている。本稿では、プラズマデバイスとその適用、作用機序、および特に医療関連感染対策にかかわる臨床環境表面に対する影響について評価する。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
「プラズマ」は固体・液体・気体に続く物質の第 4 の状態の名称で、一般的には「電離したガス」のことをいう。わが国では「プラズマ」といえば「プラズマ滅菌システム」であるステラッド®がよく知られ、また市販品としてはプラズマクラスター®が有名である。医療器具の滅菌や環境の除菌は近年、欧米でのトピックスとなっており、紫外線照射や過酸化水素などの研究開発や商品販売が盛んであるが、本稿は「低温大気圧プラズマシステム」による最近の研究に関する総説である。低温大気圧プラズマシステムは、従来の環境除菌や医療器具滅菌にとどまらず、止血・創傷治癒促進や皮膚の除菌など人体への応用も期待されており、わが国でも産学協同で研究が進められている。
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