介護施設における廃水のサーベイランスを通じた抗菌薬耐性菌のモニタリング:スコーピングレビュー

2025.10.05

Monitoring antimicrobial resistance in care homes through wastewater surveillance: a scoping review

B.S. Alford*, C.M. Hughes, D.F. Gilpin, J.W. McGrath
*Queen’s University Belfast, UK

Journal of Hospital Infection (2025) 164, 8-17

抗菌薬耐性の脅威は高まりつつあり、とりわけ介護施設では、高齢の入居者が、高頻度の抗菌薬使用と併存疾患のために特に脆弱である。COVID-19 パンデミック以降、医療環境における病原体の検出とモニタリングを目的とする廃水サーベイランスへの注目が高まっている。本研究では、Joanna Briggs Institute(※ジョアンナブリッグス研究所[Joanna Briggs Institute、JBI]はオーストラリアのアデレード大学に本部があり、世界 40 カ国以上に提携先がある)のスコーピングレビューの枠組みに従い、高齢者向け介護施設における抗菌薬耐性を取り上げた廃水ベースの疫学研究について入手可能な文献の範囲をマッピングした(※スコーピングレビュー:特定のテーマに関する既存の文献を広範囲に調査し、主要な概念や理論、研究のギャップなどを特定することを目的とした研究手法)。6 つの電子データベース(Medline、Embase、Scopus、Web of Science、ProQuest、Google Scholar)において、開始日から 2024 年 8 月 26 日までの検索を行った。検索方法は、以下のキーワードの変形を用いた:抗菌薬耐性(antimicrobial resistance)、廃水ベースの疫学(wastewater-based epidemiology)および高齢者向け介護施設(care homes for older adults)。適格性基準に基づき研究をスクリーニングし、研究者 1 名がデータを抽出した。別の研究者 1 名が、図表化されたデータを評価し、疑問を解決した。検索によって 83 件の研究が特定され、このうち 2015 年から 2024 年の間に実施された 11 件を組み入れた。研究では、グラブサンプリングまたは複合サンプリングが、培養による細菌同定、抗菌薬感受性試験、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)や全ゲノムシークエンシングなどの分子的手法と組み合わせて用いられた。大腸菌(Escherichia coli)およびクレブシエラ(Klebsiella)属菌を含む腸内細菌目細菌が最も多く検出され、特に一部のペニシリン系およびセファロスポリン系に対して耐性率が高かった。本レビューで報告したサンプルサイズは小さかったが、廃水ベースの疫学は、介護施設の廃水における抗菌薬耐性菌のモニタリングに有望であり、傾向と遺伝的多様性に関する知見を提供するとともに、公衆衛生戦略や抗菌薬適正使用支援プログラムに有用な情報をもたらす可能性がある。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

介護施設を、施設の廃水を中心としたモニタリング手法でサーベイランスを行っている。新たな耐性菌の検出を早期に発見出来るかもしれない。

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