ドイツの医療制度の入院環境における難治性および再発性クロストリジオイデス・ディフィシル(Clostridioides difficile)感染症の医療経済的負担 — IBIS 研究
Health economic burden of refractory and recurrent Clostridioides difficile infection in the inpatient setting of the German healthcare system — the IBIS Study S.M. Wingen-Heimann*, A. Ullah, M.R. Cruz Aguilar, S.K. Gräfe, J. Conrad, K. Giesbrecht, K.-P. Hunfeld, C. Lübbert, S. Pützfeld, P.A. Reuken, M. Schmitz-Rode, E. Schalk, T. Schmidt-Wilcke, S. Schmiedel, P. Solbach, M.J.G.T. Vehreschild *Medical Faculty and University Hospital Cologne, University of Cologne, Germany Journal of Hospital Infection (2025) 160, 19-25
背景
クロストリジオイデス・ディフィシル(Clostridioides difficile)感染症(CDI)は、依然としてよくみられる、費用のかかる医療上の難題であり、特に高齢の併存疾患を有する患者に発生する。ドイツにおける CDI の医療経済的負担に関するエビデンスは限られており、特に難治および再発患者については少ない。
方法
IBIS 研究は、入院患者の CDI 治療の医療経済的負担を評価することを目的として、ドイツの病院 10 施設で 2017 年 8 月から 2020年 9 月に実施された非介入後向きおよび前向き研究であった。本研究では、現行の ESCMID ガイドラインに従って、CDI エピソードを初発、難治性および再発性に分類した。社会的観点からマイクロコスティング法を用い、異なる種類の病棟における治療、CDI に対する標的抗菌薬治療、疾患関連障害に起因する生産性損失に関する人件費、材料費およびインフラ費用を検討した。
結果
患者あたりの平均総費用は、初発群で 13,607 ユーロ(95%CI 12,124 ~ 15,171 ユーロ)、難治群で 19,953 ユーロ(95%CI 16,839 ~ 23,377 ユーロ)、再発群で 22,671 ユーロ(95%CI 16,088 ~ 30,474 ユーロ)であった(P < 0.001)。一般病棟での治療が、最も重要なコストドライバーであった。初発群、難治群および再発群における平均入院期間はそれぞれ 30 日(95%CI 27 ~ 33日) 対 41 日(95%CI 35 ~ 46日) 対 47 日(95%CI 37 ~ 57日)であった(P < 0.001)。初発、難治性および再発性 CDI 患者において、CDI に対する標的抗菌薬治療が必要であった日数は、それぞれ 11日(95% CI 10 ~ 1 日)、15 日(95%CI 13 ~ 16 日)および 24 日(95%CI 22 ~ 27日)であった(P < 0.001)。
結論
IBIS 研究は、ドイツの入院環境における難治性および再発性 CDI の医療経済的負担に関する有用な知見を提供し、治療転帰の改善および CDI に関連する総費用の低減のためには、有効な一次治療が重要であることを強調している。
監訳者コメント:
本研究は、ドイツの 10 施設を対象に実施された IBIS Study において、Clostridioides difficile感染症(CDI)の初発、治療抵抗例、再発例を分類し、それぞれの医療資源使用量と経済的負担を精緻に評価したものである。治療抵抗例や再発例では、入院期間の延長や治療コストの上昇が顕著であり、特に再発例は初発例の1.7倍のコストを要していた。一方で、日本では再発や再燃の頻度やリスク因子に関する疫学的データが十分に整っていない。さらに欧米とは異なる分離株が関与している可能性も否定できず、国内においても CDI の再発に関する臨床的検討に加え、細菌学的解析を含めた多面的な研究が求められる。
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