病棟における室内空気の質を改善する上での 2 種類の空気清浄機の最適な運用配置
Optimal operating positions of two air purifiers for improving indoor air quality in hospital wards I.H. An*, D.B. Kwak, J. Lee, S.H. Park, S.J. Yook *Hanyang University, Republic of Korea Journal of Hospital Infection (2025) 159, 42-51
背景
病棟において室内空気の質を高く維持することは極めて重要であり、特に適切な換気が行われていない場合は重要である。本研究では、換気システムやカーテンを含む様々な条件下において、室内空気の質を高める上での空気清浄機の有効性を検討した。
目的
本研究は、病棟における室内空気の質を高める上での 2 種類の空気清浄機の最適な運用配置を評価することを目的としている。
方法
本研究では、20 のシナリオについて、実験と数値流体力学(CFD)によるシミュレーションを組み合わせて用い、空気清浄機の配置が室内空気の質の重要な指標である空気齢に及ぼす影響について解析した。
結果
本研究により、空気清浄機の配置が室内空気の質に大きな影響を及ぼし、その配置によって空気齢が 19%から 44%の範囲で減少したことが明らかになった。最も効果的な配置は、強制換気システムとカーテンを閉めた状態の組み合わせであり、これによって体積で標準化した空気齢が有意に減少した。
結論
本研究の結論として、病棟における空気清浄機の適切な配置により、室内空気の質の有意な改善が得られ、空気齢が最大 44%減少する。とりわけ、換気システムを強制作動させてカーテンを閉めた状態の場合に、空気齢は 318 s にまで減少し、これはより効果の低かった配置と比べて 27%から 44%の改善であった。以上の結果は、空気清浄機の戦略的な配置が、空気感染のリスクを低減するため、また医療環境において患者の安全を高めるために重要な役割を果たすことを強調している。
監訳者コメント:
本研究は、病棟における室内空気質(IAQ)改善を目的として、空気清浄機 2 台の配置と運転条件が空気年齢(age of air)に与える影響を 20 通りの条件下で実験・数値解析により検討したものである。換気装置の有無、カーテンの開閉、および空気清浄機の配置により、空気年齢は最大 44%短縮された。特に換気装置が稼働し、かつカーテンを開けた状態で空気清浄機を空間中央に配置したケースでは、空気の入れ替え効率が最も高かった。また、換気がない状況下では、空気清浄機を空間中心に置く配置が効果的であった。本研究は、空気清浄機が単なる補助機器ではなく、配置によって空気感染リスクの軽減に寄与しうる戦略的資源であることを示唆する。今後は、清浄機設置の高さや複数台の活用法についても検討が求められる。
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