成人入院患者における医療関連感染症を予防および管理するための介入の経済的評価に関するアンブレラレビュー
Umbrella review of economic evaluations of interventions for the prevention and management of healthcare-associated infections in adult hospital patients J. Pollard*, E. Agnew, N. Pearce-Smith, K.B. Pouwels, N. Salant, J.V. Robotham, the REVERSE Consortium *UK Health Security Agency, UK Journal of Hospital Infection (2025) 158, 47-60
背景
医療関連感染症(HAI)は患者の予後を悪化させ、財政的負担を増大させる。2022 年から2023 年に欧州全体で推定 480 万例の HAI が病院内で発生した。欧州の抗菌薬耐性感染症の 64%は医療関連感染症である。したがって、費用効果的な介入を特定することが不可欠である。
目的
病院内の HAI に対処する介入の費用対効果に関するエビデンスを要約する。
方法
成人入院患者における HAI の予防および臨床管理を目的とした抗菌薬適正使用支援、感染予防・制御および微生物検査・診断支援介入の費用対効果に関するエビデンスを特定するために、アンブレラレビュー(Umbrella review)を実施した。Medline、Embase および EconLit データベースを検索した。質的統合を行った。
結果
24 件のシステマティックレビューが選択基準を満たした。これらのレビューから個別の解析 101 件を抽出し、さまざまな国および設定にわたって介入を 10 カテゴリー、感染症/微生物を 14 カテゴリーに分類した。大部分のエビデンスは、スクリーニングとそれに続く接触予防策、隔離および/または除菌に焦点を当てており、選択的スクリーニングが最も費用効果的であった。ほとんどの感染予防・制御バンドルは費用効果的であったが、介入は不均一であった。残りの介入カテゴリーについてはエビデンスベースが少なく、さらなる研究が必要である。限られたエビデンスから、単独の環境清掃、手指衛生、診断法、サーベイランス、抗菌薬適正使用支援および除菌介入は、ほとんどの場合費用効果的であったことが示唆される。単独の個人保護具および教育・訓練介入の費用対効果については、結果がまちまちであった。ほとんどの介入は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)やその他のグラム陽性菌感染に焦点を当ててており、グラム陰性菌感染に関するさらなる研究が必要である。抽出した解析の多くにおいて、対照介入が不明であった。
結論
病院内で HAI に対処するための費用効果的な介入は存在するが、ほとんどの介入に関してさらなるエビデンスが必要である。
監訳者コメント:
医療関連感染症を、多角的に分析して考察することは重要である。そのような視点から数多くの論文を検討することで新たなエビデンスが見いだせるかもしれない。
※アンブレラレビュー(Umbrella review)とは:医学研究において複数のシステマティックレビューまたはメタアナリシスを統合的に分析してレビューすることを意味する。
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