様々な高速エアタービン歯科用ハンドピースによる口腔液の吸引についてのin vitroでの評価★
In-vitro assessment of oral fluid aspiration by various high-speed air-turbine dental handpieces M. Sun*, J. Zhu, Y. Zhao, J. Sun, X. Yang, Y. Wang, R. Liu, H.Yu *Sichuan University, Chengdu, China Journal of Hospital Infection (2025) 157, 59-66
背景
歯科用ハンドピースの吸引による汚染を抑制することは、歯科用チェアユニットや歯科用ハンドピースに関連した交差感染のリスクを軽減するために極めて重要である。しかし、歯科用ハンドピースの抗吸引能力は、主に製造業者が主張しているもので、これらの主張を評価する標準化された方法があるわけではない。
目的
交差感染予防戦略の改善を目的として、歯科用ハンドピースの抗吸引性能と機序を評価すること。
方法
次の歯科用ハンドピースをそれぞれ製造している 5 つの業者を選択した。SMART torque S609C(グループSMART)、TWINPOWER TURBINE 4H PAR-4HUEX(グループTWIN)、T3 mini-Midwest(グループT3)、TU(グループTU)、使い捨て歯科用ハンドピース(グループHpdove)。吸引圧指標を、液体のレベルの変化によって比較した。歯科用チェアユニットの接続管中のストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)のコロニー数を、モデル F(歯科用ハンドピースのヘッドを完全に浸す)とモデル H(歯科用バーを半分浸す)によって比較した。
結果
グループ TWIN の吸引圧指標は 0 を示したが、これは吸引圧が 0 ということである。モデル H では、グループ TWIN を除く 4 つのグループの排気管中で、観察された細菌数が 0 ではなかった(P < 0.001)。排気管中の細菌数は、モデル H の方が、モデル F よりも、有意に少なかった(P ≦ 0.003)。
結論
吸引圧指標が最低、排気管中の細菌数が最小であったことで、最良の抗吸引能力を示した TWIN の歯科用ハンドピースは、モデル H の場合であった。歯科用バーを半分浸すことは、歯科用ハンドピースのヘッドを完全に浸すことに比べて、交差感染のリスクを減少させる。この研究で開発された抗吸引解析モデルは、歯科用ハンドピース製造業者の主張を評価するための ISO の基礎となり、歯科用チェアユニットに関連した交差感染のリスクを抑制するのに役立つ可能性がある。
監訳者コメント :
高速回転のハンドピースは、口腔内の唾液や血液が逆流するサックバックにより交差感染のリスクがある。本研究では各種歯科用ハンドピースの抗吸引性能を実験的に検討した。
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