実験的な UV-C ロボットの制御された条件下と、実際の病院の状況下での抗菌効果★

2025.02.11

Antimicrobial efficacy of an experimental UV-C robot in controlled conditions and in a real hospital scenario

B. Casini*, M. Scarpaci, F. Chiovelli, S. Leonetti, A.L. Costa, M. Baroni, M. Petrillo, F. Cavallo
*University of Pisa, Italy

Journal of Hospital Infection (2025) 156, 72-77

背景

非接触自動消毒装置のうち、短波長紫外線(UV-C)照射は、医療関連感染を引き起こす広い範囲の微生物に対して最も効果があるものの1つであることが証明されている。

目的

実験的な UV-C ロボットプラットフォームを標準的な洗浄作業プロトコールを実施するのに使ったときの抗菌効果を、制御された条件下と、実際の病院の状況下で評価すること。

方法

in vitro において、カリブレーションテストの後、殺菌効果と殺ウイルス効果を、American Society for Testing and Materials International Standard E3135-18 に従って検査した。病院の状況では、よく接触する 12 カ所の表面から、医療活動(汚染状態)後、標準的な洗浄作業プロトコールのみの後、標準的な洗浄作業プロトコール + UV-C 処置後に、合計で 180 個の検体を採取した。

結果

in vitro では、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)と緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)を完全に除去するのに 4 mJ/cm2 未満が必要とされ、アデノウイルス HadV5 を完全に不活性化するのに 194 mJ/cm2 が必要とされ、コロナウイルス 229E 完全に不活性化するのに 38.8 mJ/cm2 が十分であった。実際の病院の状況下では、検体を採取した表面に照射された UV-C の平均線量は、29.31 mJ/cm2 であった。汚染状態と比べて、標準的な洗浄作業プロトコールのみの後(P = 0.022)および標準的な洗浄作業プロトコール + UV-C 処置後(P = 0.007)において、有意差が見出された。総生菌数の平均減少率は、標準的な洗浄作業プロトコールのみの後が 67%、標準的な洗浄作業プロトコール + UV-C 処置後が 96% であった。

結論

in vitro で実施された試験と実際の病院の状況下で実施された試験を比較したところ、病院の状況の方が、総生菌数の減少を達成するために高い線量が必要だったので、UV-C ロボットの有効性は、病院の状況で減少することが示された。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

環境整備の基本は清掃で環境から日常的に埃や水分を取り除き、高頻度接触部位を定期的に清拭し、必要に応じて消毒することであるが、人が行う環境整備には不確実性があるため、近年、非接触の環境消毒として、比較的簡便な紫外線照射(特に UV-C)が注目されている。制御された実験系に比べ、実際の病院環境では効果が低下する可能性があるので、本研究のように実環境での効果を示すことは重要である。

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