院内 SARS-CoV-2 アウトブレイクにおける非薬理学的予防方策:多施設共同後向きコホート研究
Non-pharmaceutical infection prevention measures in nosocomial SARS-CoV-2 outbreaks: a retrospective multi-centre cohort study I. Dresselhaus*, C. Baier, N. Reinoso Schiller, A. Brodzinski, M. Berens, M. Cristofolini, P. Gastmeier, C. Geffers, B.Gärtner, F. Kipp, N.T. Mutters, A.D. Wollkopf, C. Papan, S. Scheithauer *Georg-August University Göttingen, Germany Journal of Hospital Infection (2025) 155, 17-24
背景
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)の院内アウトブレイクは、パンデミック中およびパンデミック外において患者および医療制度にとって重要である。
目的
SARS-CoV-2 アウトブレイクの特性、ならびに異なるパンデミック波時におけるその感染予防・制御(IPC)方策について探索すること。
方法
SARS-CoV-2 アウトブレイクを対象とした包括的構造化テンプレートを開発し、大学病院 6 施設に記入してもらった。主要転帰変数は、アウトブレイク規模とした。
結果
2020 年 3 月から 2023 年 2 月の間に、合計でアウトブレイク 80 件および感染症例 734 例を登録した。大部分のアウトブレイク(85%)では、接触者追跡調査チームが設置された。アウトブレイク 13 件(16%)では、接触者追跡調査チームのみが接触者追跡調査の責任を有し、その結果から、SARS-CoV-2 パンデミック波で補正した場合、アウトブレイク規模との負の関連が認められた(推定値[β] = -1.350、標準誤差[SE] = 0.274、P < 0.0001)。発端者が患者であることは、発端者が医療従事者であることと比べて、アウトブレイク規模との関連が大きかった(β = -0.29、SE = 0.098、P = 0.003)。さらに、医療従事者がいる場合の患者によるフェイスマスクの使用義務には、アウトブレイク規模との負の関連が認められた(β = -0.237、SE = 0.08、P = 0.003)。アウトブレイク中における患者スクリーニングの頻度には大きなばらつきがあり、SARS-CoV-2 スクリーニングの頻度が高いことはアウトブレイク規模との負の関連が認められた(β = -0.358、SE = 0.109、P = 0.001)。
結論
本研究のデータは、アウトブレイクに対する非薬理学的な予防および管理に関する洞察を提供しており、医療従事者がいる場合の患者によるフェイスマスクの使用義務、ならびに進行中のアウトブレイク時における患者スクリーニング頻度が高いことは、アウトブレイク規模がより小さいことと有意に関連していた。今回の結果を一般化できるためには、さらなる研究が必要とされる。
監訳者コメント:
コロナ禍のクラスター対策では感染管理の担当者が細やかに現状を調査し、接触者を把握し、マスクの着用や隔離など丁寧に現場の指導を行っていた。そういった専門職が行う非薬物的な介入や対策の効果は定量化することが難しい。しかし感染対策においては実際にはこういった地道な対策や活動、取り組みが最も重要であることは論を待たない。本研究はそのような活動の有効性に焦点を当てたものといえ、様々な技術の社会実装においてそれを現場で展開する専門家の存在と役割が重要であることを間接的に示した研究成果である。
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