カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)分離株の遺伝子型決定によってイタリアの 3 次医療病院における院内伝播の 2 つの系統が明らかに
Genotyping of Candida tropicalis isolates uncovers nosocomial transmission of two lineages in Italian tertiary care hospital B. Spruijtenburg*, E. De Carolis, C. Magri, J.F. Meis, M. Sanguinetti, T. de Groot, E.F.J. Meijer *Radboudumc, The Netherlands Journal of Hospital Infection (2025) 155, 115-122
目的
カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)は、抗真菌薬耐性が増している医学的に重要な酵母であるが、院内伝播が報告されることは稀である。この研究では、院内伝播の可能性を明らかにすることと、耐性を評価することを目的として、イタリアの病院からの C. tropicalis 分離株の遺伝子型を決定した。
方法
2013 年から 2023 年にかけて、5 つの施設の 161 例の患者から合計で 197 株の C. tropicalis 分離株を採取した。ショートタンデムリピート(STR)遺伝子型決定をすべての分離株に対して実施し、そのうち 24 株を選んで、全ゲノムシークエンシング(WGS)と新規のフーリエ変換赤外(FTIR)分光法による型の決定を行なった。抗真菌薬耐性は、微量液体希釈法と WGS で調べた。
結果
STR遺伝子型決定では、多数の患者からの分離株を含む 7 つのクラスターが明らかになった。STR遺伝子型が関係のあった分離株の 5 つのグループについて、WGS による一塩基多型(SNP)解析を行なっても、これらの分離株は 5 つのグループに分けられた。そのうち 2 つのグループには、様々な患者からの 59 個以下の SNP で区別される分離株のクラスターが含まれていた。対照的に、3 例の患者の連続分離株は、141 個以下の SNP で区別された。C. tropicalis の WGS による 2 のクラスターは、FTIR 分光法による遺伝子型決定に基づいてもクラスターとなったが、この方法では、分離株が 5 つのグループには分かれなかった。24 株の分離株の中に、通常の抗真菌薬に耐性を示したものはなかった。
結論
WGS SNP 解析では、同じ病院内における 2 つの系統の院内伝播が示された。これは、感染制御対策を実施することと、このよくみられる酵母の遺伝子型決定を臨床において通常行なうことの必要性をはっきりと示している。STR遺伝子型決定と FTIR 分光法による遺伝子型決定は、どちらも、これらの系統をクラスターにしたが、分離株がクローンとして伝播したかどうかを明らかにするには、WGS SNP 解析が必要である。
監訳者コメント:
Candida tropicalis はしばしば検出される Candida 属菌で、ほとんどがアゾール系やファンギン系真菌薬に感性であるため、日本では強く意識されていない。また、院内伝搬を疑った場合でも本研究のように遺伝子解析が必要になり、詳細な調査がされていないのが現状である。
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