非人工呼吸器関連病院感染肺炎の予防に対する取り組み:ナラティブ・レビュー

2024.09.03

Practices to prevent non-ventilator hospital-acquired pneumonia: a narrative review

A. Livesey*, S. Quarton, H. Pittaway, A. Adiga, F. Grudzinska, D. Dosanjh, D. Parekh
*University Hospitals Birmingham, UK

Journal of Hospital Infection (2024) 151, 201-212

院内感染症は医療において、病的状態および死亡の増加により個人レベルでも、また費用の増大により医療機関レベルでも重大な帰結をもたらす。病院感染肺炎は、極めて頻度の高い院内感染症であり、高い超過死亡率、広域スペクトル抗菌薬の頻回使用、ならびに入院期間延長と関連する。

本レビューでは、非人工呼吸器関連病院感染肺炎(NV-HAP)において検討されてきた予防措置について探索した。誤嚥リスクの管理、口腔衛生のための介入、身体動作・理学療法/環境因子の変更/ワクチン接種の役割について考察する。これらの介入の多くは低リスクで、患者にとって受け入れが容易であり、費用便益比が高い。NV-HAP の予防に関するエビデンスの根拠は弱い。本レビューでは、既存の文献における限界として、研究における統一的な定義がないこと、研究への登録不足、ならびに介入および転帰評価項目のばらつきを特定した。NV-HAP の獲得における重要なリスク因子が増加していることを考えると、NV-HAP の予防に取り組む研究が早急に必要とされている。 本レビューでは、NV-HAP の統一的な定義、ならびに NV-HAP の研究における重要な転帰セットの特定の必要性を主張し、NV-HAP の研究に関する今後の方向性について示唆している。NV-HAP 患者に対するケアを改善することで、病的状態、死亡、および医療費を大幅に減らすこととなろう。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

デバイス関連感染症としては人工呼吸器関連肺炎(VAP)がよく取り上げられるが、実際の患者数で見ると、VAP よりも誤嚥性肺炎などを主とする人工呼吸器を使用しない肺炎(NV-HAP)の方がはるかに大きな問題である。VAP に対するバンドル予防策と同様に、NV-HAP においても予防策のバンドル化が求められる。また、NV-HAP は患者の背景や介入方法の違い、介入の質にばらつきがあるため、用語や定義の統一、手技の平準化が必要である。今後、この分野の重要性はさらに増していくと考えられる。

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