医療施設における水と衛生(WASH)の包括的評価:システマティックレビューおよびメタアナリシス

2024.09.03

A comprehensive evaluation of water, sanitation and hygiene (WASH) in health facilities: a systematic review and meta-analysis

S. Gnanasekaran*, V. Jayaraj, Yazhini V.B., P.S. Mohanraj, C. Babu, N. Rajendran, V. Rajendran
*All India Institute of Medical Sciences (AIIMS), India

Journal of Hospital Infection (2024) 151, 116-130

世界的な認識にもかかわらず、WHO 報告書では大きな格差が明らかにされている。4 分の1 の医療施設には基礎的な上水設備がなく、18 億人以上が影響を受け、21%の医療施設には下水設備がなく、15 億人が影響を受けており、これらはとくに低・中所得国で多くみられる。本研究では、さまざまな医療環境における水と衛生(WASH)設備の現状を批判的に評価することとした。本レビューは、PubMed、MEDLINE、EMBASE、CINAHL、Scopus などのさまざまなデータベースおよび灰色文献を対象とした。種々のデザインを用いた適格な研究において、WASH のインフラおよび実践を綿密に調べた。方法論的な質は、Quality Assessment with Diverse Studies(QuADS)チェックリストを用いて厳密に評価した。データ解析は R ソフトウェアを用いて実施し、WASH 介入の効果の統合推定値を算出した。頑健性を確認し、バイアスを緩和するために、ファンネルプロットなどの統計学的手法を用いて感度分析を実施した。スクリーニングした 13,250 報の論文のうち、18 報を本レビューの対象とした。メタアナリシスにより、さまざまな領域にわたって WASH 介入の効果はかなり大きいことが明らかになった(上水[67.38%]、下水[53.93%]、廃棄物管理[40.82%]、環境[56.58%]、衛生[66.83%]および管理[42.30%])。WASH には医療施設間で幅広い格差が存続しており、農村地域は著しい不足に直面している。水質、下水および廃棄物管理の課題については、改善のために包括的、多部門的なアプローチが求められる。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

医療施設における水と衛生(WASH)の重要性に関するシステマティックレビューである。一見、主に発展途上国の問題と感じられるが、どのような状況でも WASH の改善は医療の質を向上させる可能性がある。いわゆる「水回り」と呼ばれる病院のシンク、汚物室、トイレなどの管理を今一度見直すことが重要である。

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