内視鏡による標本採取と培養の方法★★

2024.07.31

Endoscope sampling and culturing methods

L. Pineau*, M. Alfa, C. Radix
*Eurofins Biotech Germande, France

Journal of Hospital Infection (2024) 149, 36-45


背景

患者に使用する準備のできた軟性内視鏡の文献で報告されている汚染率は、0.4%から 49%までのばらつきがある。残念ながら、これらの結果を比較したり解釈したりすることはほぼ不可能である。というのも、標本採取と培養の方法、汚染の標的とするレベル、指標となる微生物の定義を含むいくつかの因子が、研究ごとに大きく異なっているからである。

目的

十二指腸内視鏡による標本採取および培養の 6 つの方法の有効性、採取の有効性を比較すること。また、それと同時に、微生物の回収を最適にする重要なパラメーターを特定すること。

方法

十二指腸内視鏡による標本採取において、それぞれの方法の有効性を、ISO 11737–1:2018 で説明されている繰り返し回収法を使って評価した。

結果

バイオバーデン採取の有効性の全体での平均は、オーストラリア法の 1%からフランス法の 39%までのばらつきがあった。内視鏡による標本採取の有効性が最も低いことと関連していたのは、中和剤、摩擦剤、界面活性剤が存在しなかったことと、回収された採取液の小さな部分のみが培地に植え付けられたことであった。標本採取と培養の方法の有効性も、内視鏡に存在した微生物の性質や、標本採取から培養までの時間によって異なっていた。

結論

この研究は、軟性内視鏡による標本採取と培養の方法を調和させ標準化する必要があることを裏付けている。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

内視鏡の微生物汚染の程度を測定するための方法が各国にあるが、統一された国際標準的な方法がなく、比較が不可能であった。本論文では ISO 11737-1: 2018 に沿った方法で実施され、微生物汚染の検出感度の違いが明確となった。使用微生物は大腸菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌の 3 種類である。なお、ISO 11737-1: 2018 での評価方法は、最初のサンプリングでの微生物数を分子に、最初のサンプリングから連続した回収毎の微生物数の総計を分母としてバイオバーデン回収率としている。以下の 7 点が適切な検体採取と培養に必要なポイントである:①サンプリング液には中和剤や界面活性剤添加により回収率があがる、②検体採取はすべてのチャンネルから実施、③採取時にはブラシ使用やポンピングによる液体注入などを使用、④チャンネル内への注入量の 80%は回収確保、⑤採取サンプルは 5°Cで 24 時間保存、⑥0.45 または 0.2μm のメンブレンフィルターで採取サンプルを濃縮後、血液寒天培地などの寒天培地で培養、⑦培養は 3 日以上で 35°Cで培養。将来的には国際標準となる検査方法を定めることが必要である。

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Journal of Hospital Infection (2021) 110, 89-96

 

 

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