イタリアにおける医療関連感染症および抗菌薬使用に対する COVID-19 の影響(2022年)
Impact of COVID-19 on healthcare-associated infections and antimicrobial use in Italy, 2022 C. Vicentini*, A. Russotto, R. Bussolino, M. Castagnotto, C. Gastaldo, L. Bresciano, S. Bazzolo, D. Gamba, S. Corcione, F.G. De Rosa, F. D’Ancona, C.M. Zotti *University of Turin, Italy Journal of Hospital Infection (2024) 149, 14-21
背景
COVID-19 患者のリスクが高い原因は、より高い COVID-19 感染リスクおよび感染の重症度に関連する人口統計学的・臨床特性にあるのか、疾患とその管理にあるのかは、不明である。
目的
パンデミック後期の医療関連感染症(HAI)伝播および抗菌薬使用率に対する COVID-19 の影響を評価した。
方法
イタリアの 21 地域中 19 地域の急性期ケア病院 325 施設において、2022 年 11 月に点有病率調査(PPS)を実施した。非 COVID-19 患者を、年齢、性別、基礎疾患の重症度に従って COVID-19 患者とマッチさせた。HAI 有病率および抗菌薬使用率は、組み入れた患者全例に対する、それぞれ HAI を 1 回以上発症した患者または 1 種類以上の抗菌薬を処方された患者の割合として算出した。
結果
全体で患者 60,403 例を組み入れ、そのうち 1,897 例(3.14%)が COVID-19 患者に分類された。HAI 粗有病率は、COVID-19 患者において非 COVID-19 患者と比較して有意に高く(9.54% 対 8.01%、有病率比[PRR]1.19、95%信頼区間[CI]1.04 ~ 1.38、P < 0.05)、マッチさせたサンプルでも依然として高かったが、統計学的有意性は維持されなかった(オッズ比[OR]1.25、95%CI 0.99 ~ 1.59、P = 0.067)。抗菌薬使用率は、マッチング前には COVID-19 患者において有意に高く(46.39% 対 41.52%、PRR 1.21、95%CI 1.11 ~ 1.32、P < 0.001)、マッチング後には COVID-19 患者において有意に低かった(OR 0.77、95%CI 0.66 ~ 0.89、P < 0.001)。
結論
COVID-19 患者は、基礎にある臨床状態および医療の必要性の強さが原因で、HAI リスクが上昇する可能性がある。COVID-19 患者における抗菌薬適正使用支援に特化したさらなる取り組みを行うべきである。
監訳者コメント:
入院を必要とするような COVID-19 患者はしばしば呼吸管理や循環管理を必要とし、人工呼吸器や血管内留置カテーテルなど様々なデバイスが用いられる。そういったこともあり、COVID-19 患者では医療関連感染症が多く、抗菌薬の使用率も高い。本研究のような結果はこれまでも度々報告されている。入院を必要とする COVID-19 患者に対する医療関連感染症の予防と管理はこれから益々重要になるだろう。
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