シンガポールの長期療養施設におけるオクテニジンへの曝露はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus)のオクテニジン感受性低下と関連しなかった★
Octenidine exposure was not associated with reduced octenidine susceptibility of meticillin-resistant Staphylococcus aureus in an extended-care facility in Singapore Y.W. Tang*, P.Y. Hon, J. Tanc, B.F. Poh, B. Ang, A. Chow *Tan Tock Seng Hospital, Singapore Journal of Hospital Infection (2024) 149, 104-107
目的
クロルヘキシジングルコン酸塩(CHG)やオクテニジン二塩酸塩(OCT)などの消毒薬は、病院でメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(meticillin-resistant Staphylococcus aureus:MRSA)の伝播を予防および制御するために頻用されている。MRSA の CHG 感受性低下の割合が高まっていることから、OCT 感受性が低下する可能性が懸念されている。本研究では、3年間にわたり CHG 感受性低下および OCT 感受性低下の割合を評価するとともに、OCT への曝露と MRSA の OCT 感受性低下との間の関連を評価した。
方法
2019 年から 2021 年までに長期療養施設で MRSA に感染した入院患者から分離したMRSA 分離株を、消毒薬感受性検査の対象とした。2019 年 1 月から 9 月まで全入院患者に対する毎日の CHG 浴を行い、2019 年 10 月以降は全入院患者に対する毎日のOCT 浴を行った。CHG および OCT の 最小発育阻止濃度(MIC)を、微量液体希釈法を用いて測定した。OCT への曝露が OCT 感受性低下と独立して関連するかどうかを、多変量ロジスティック回帰分析を用いて評価した。
結果
186 分離株のうち 179 株(96%)で CHG 感受性が低下しており(MIC ≧ 4 mg/L)、46 株(25%)で OCT 感受性が低下していた(MIC ≧ 2 mg/L)。OCT 感受性低下の割合は、2019 年、2020 年および 2021 年で、それぞれ 26.9%、13.8%および 14.3%であった。CHG 感受性低下の割合は、2019 年、2020 年および 2021 年で、それぞれ 95.4%、100%および 95.9%であった。年齢、性別、人種、検体採取年、施設でのリスク日数、前年の入院および前年の MRA 保菌/感染で補正後に、OCT への曝露は OCT 感受性低下と関連していなかった(補正オッズ比[OR]0.23、95%信頼区間(CI)0.08 ~ 0.75、P = 0.014)。
結論
長期療養施設で全患者に対する OCT 浴を行ったにもかかわらず、OCT 感受性低下の割合は低いままであった。しかし、CHG 感受性低下の割合は高かった。OCT への曝露は、MRSA の OCT 感受性低下とは関連していなかった。
監訳者コメント :
CHG 浴と異なり、OCT 浴で MRSA のOCT 感受性低下を認めなかった。今後の長期療養施設の MRSA 対策の一助になるかもしれない。
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