カルバペネム耐性腸内細菌目細菌とバンコマイシン耐性腸球菌のスクリーニングの結果を予測するスコア★
A predictive score for the result of carbapenem-resistant Enterobacterales and vancomycin-resistant enterococci screening F. Stordeur*, A-G. Si Larbi, K. Le Neindre, J. Ory, F. Faibis, C. Lawrence, F. Barbut, D. Lecointe, E. Farfour, on behalf of the RéFraLHHa group *Structure interne de gestion des risques, hygiéne, qualité (SIGRHYQ), Centre Hospitalier Poissy-Saint-Germain en Laye, France Journal of Hospital Infection (2024) 148, 20-29
背景
超多剤耐性菌(XDR)を保持している期間は、情報を集めるのが難しい可能性のあるいくつかの因子に依存している。
目的
患者の過去のスクリーニングや臨床の結果が、その後のスクリーニングの結果を予測できるかどうかを明らかにすること。
方法
後向きに、フランスの 10 の医療施設から、2014 年 1 月から 2022 年 1 月までの患者を合計で 256 例組み入れた。我々は、標本中に検出された XDR の種類の数と耐性の型、最後に陽性となった標本からの時間、それまでに連続して陰性となった標本の数、集めた標本の中で PCR の結果が少なくとも 1 回陰性となることの有無を組み入れたクリアランス予測スコアを作り出した。スコアの範囲は -5 から +7 であった。このスコアは、XDR を保持している患者のまもなく行われる直腸スクリーニングに、最後のスクリーニング標本が陰性であれば直ぐに、使用することができた。
結果
スコアが 0 以下のときの陰性適中率は 99%を超えていた。スコアが 0 のときに XDR のクリアランスを達成するまでの時間の中央値(443 日[259 ~ 705])は、以前に発表された基準に基づいたときの中央値よりも短かった。
結論
この予測スコアは、XDR のクリアランスを評価する性能が高いことを示している。特異的な感染予防・制御対策を、これまでのガイドラインよりも早く止めるのに役立つ可能性がある。それでも、その決定は、抗菌薬の使用や手指衛生の遵守のようなその他の因子に従うべきである。
監訳者コメント :
この予測スコアの点数により以下の感染対策を組み合わせて実施するが、スコアがマイナスであればスクリーニング陽性の可能性が低く、反対にプラスであればその逆となる。対策は、当該患者の直腸スワブによるスクリーニング、個室隔離(+接触感染対策)、接触患者へのスクリーニングの 3 つの組み合わせとなる。予測スコアの感度、特異度、陰性予測率はそれぞれ 93.9%、66.0%、99.2%であり、点数により無駄な検査を省くことが可能となる。ただ、10 年前のデータを含む後方視的研究であり、CPE が増加している現在のフランスの状況とは異なっており、そのままこのスコアを使うには限界があるかもしれない。
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