自然換気された病院における空気感染のリスクに対する一時的な気象条件の影響を評価する★
Assessing the effects of transient weather conditions on airborne transmission risk in naturally ventilated hospitals A.J. Edwards*, M-F. King, M. López-García, D. Peckham, C.J. Noakes *University of Leeds, UK Journal of Hospital Infection (2024) 148, 1-10
背景
英国の多くの病院は、病棟内の気流の主な発生源として自然換気に大きく依存している。この換気方法では、コストおよびエネルギー上の利点を得ることができるが、室内空間の間で予測不可能な気流パターンが発生し、接続している他の区域に感染性物質が予想外に輸送される可能性がある。しかし、空気感染に対する気象条件の影響は、見過ごされる場合が多い。
方法
時間的に変動する気象を組み込んだ、自然換気された病院の呼吸器病棟の複数区域CONTAM モデルが提案されている。本研究では、このモデルを空気感染モデルと組み合わせ、英国の呼吸器病棟に基づく占有率、疾患および換気の状況に特に焦点を合わせ、相互に接続された空間における変動するリスクを評価した。
結果
結果から、様々な気象条件下の自然換気においては、換気回数および接続された区域間の流量に不規則性が生じ、特定の病室で空中病原体濃度の高いピークが低頻度ではあるが発生する可能性があることが示唆される。この一時的な挙動により、特に病室間の病原体の移動を介して、空気感染のリスクが上昇し、特定の条件下で大規模アウトブレイクが発生する可能性が高いことが強調される。本研究では、自然換気によって得られる換気回数が、推奨される指標をどの程度下回る可能性があるのかを示し、補助的な機械換気の実施によって、換気回数を増加させ、感染リスクの変動を抑えることができることを証明した。
結論
このモデルでは、室内環境における空気感染の伝播リスクを評価する際には、一時的な外的条件を考慮する必要があることが強調される。
監訳者コメント :
実際の病室や病棟マップを用いたシミュレーションによって、病院における自然換気は、期待するほどの効果がないことを示した研究である。温度や風向きによって自然換気の条件は変化するため、基本的には機械的換気や空気清浄機の使用が推奨される。
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