スペインにおける 2012 年から 2022 年の欧州疾病予防管理センター(ECDC)および世界保健機関(WHO)に従った感染予防・制御プログラムの評価:中核要素 1 の指標
Evaluation of infection prevention and control programmes according to the European Centre for Disease Prevention and Control and the World Health Organization in Spain 2012–2022: indicators of core component 1 L.M. Parra*, M. Cantero, R.M. Ortí-Lucas, I. Salcedo-Leal, Á. Asensio, EPINE study Group *Puerta de Hierro-Majadahonda University Hospital, Spain Journal of Hospital Infection (2024) 147, 17-24
背景
欧州疾病予防管理センター(ECDC)および世界保健機関(WHO)が公表した効果的な感染予防・制御プログラム(IPCP)の重要な中核要素が明らかにされている。WHO の中核要素 1 は、IPCP の構造、組織化および管理に関連する。
目的
本研究では、スペインの急性期病院における、2012 年から 2022 年の期間を通した、IPCPの中核要素 1 の一部の指標について、状況および時間的傾向を評価した。
方法
2012 年から 2022 年までのスペインの点有病率調査による病院レベルのデータを解析した。中核要素 1 の指標を算出し、医療関連感染症(HAI)との関連を検討した。さらに、傾向も調べた。
結果
全体で、スペインの病院の 67.0%および 57.2%が、それぞれ年次感染予防・制御(IPC)計画および年次 IPC 報告を定め、病院管理責任者の承認を得ていることを報告した。この期間における 250 床あたりのフルタイム相当 IPC 看護師数の全体の中央値は 0.87、フルタイム相当 IPC 医師数の全体の中央値は 0.70 であった。クロストリジオイデス・ディフィシル(Clostridioides difficile)の血液培養および便検査実施率は、それぞれ 1,000 患者日あたり 39.9 および 6.1 であった。中核要素 1 の指標と HAI 有病率との間に有意な相関は認められなかった。
結論
スペインは現時点で、IPCP の構造、組織化および管理に関して基礎レベルにある。病院間で規模および種類に応じて大きな差異が認められた。
監訳者コメント:
院内感染対策担当者の数や質、マニュアル整備や ICT ラウンドの状況など、感染対策には様々な人的・設備的投資が必要となり、またその活動を定量化する必要もあるが、それが実際に医療関連感染の発生状況と相関しているかどうかまで評価した研究は少ない。 日本でも第一ステップとしては感染対策体制の整備状況の確認と底上げを、第二ステップとしてはそれが実際に医療関連感染の抑止につながっているのかをしっかりと評価していく必要がある。地域連携などでも一度そのような取組みを行ってみても良いだろう 。
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