大腸手術部位感染症をサーベイランスするための機械学習モデルの構築
Development of machine learning models for the surveillance of colon surgical site infections S.Y. Cho*, Z. Kim, D.R. Chung, B.H. Cho, M.J. Chung, J.H. Kim, J. Jeong *Samsung Medical Center, Republic of Korea Journal of Hospital Infection (2024) 146, 224-231
背景
従来の手術部位感染症(SSI)サーベイランスは大きな労力を要する。本研究では、大腸手術後の SSI をサーベイランスするための機械学習(ML)モデルを構築し、ML によってサーベイランスプロセスの効率が向上するかどうかを評価した。
方法
本研究は、2013 年から 2014 年の間に 3 次医療施設で大腸手術を受けた症例を対象とした。ロジスティック回帰および 4 種類の ML アルゴリズム(ランダムフォレスト[RF]、勾配ブースティング[GB]、再帰的特徴量削減[RFE]を行うまたは行わないニューラルネットワーク[NN])を、最初にコホート全体で訓練した後、先行するルールベースアルゴリズムに基づき選択された症例で再訓練した。モデル性能は、曲線下面積(AUC)、感度および陽性的中率(PPV)に基づき評価した。ML モデルに基づくカルテ調査における作業負担の推定減少率を算出し、従来の方法と比較した。
結果
感度 95%において、29 変数を用いた RFE を行う NN が最も性能が高く、AUC 0.963、PPV 21.1%であった。ルールベースアルゴリズムと ML アルゴリズムを併用すると、19 変数を用いた RFE を行う NN の PPV(28.9%)が ML アルゴリズム単独の場合より高くなり、これにより、カルテ調査が必要な症例数を従来法と比較して 83.9%減少させることが可能であった。
結論
本研究では、ML によって、カルテ調査の負担が軽減されると同時に高い感度がもたらされ、大腸手術後の SSI サーベイランスの効率が向上する可能性があることが示された。特に、ML とルールベースアルゴリズムを併用する混成アプローチが、PPV に関して最も高い性能を示した。
監訳者コメント:
SSI サーベイランスは、感染判定において、カルテ閲覧を中心として様々な負担を要する。それらの負担をいわゆる「AI」によって軽減できないか、という論文。地道な作業が無くなるのは、嬉しいようで、寂しいような…。
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