Spaulding 分類を補う再利用可能な医療器材の洗浄分類体系の提案

2024.03.31

A proposed cleaning classification system for reusable medical devices to complement the Spaulding classification

T. Kremer*, N.J. Rowan, G. McDonnell
*Technological University of the Shannon Midlands Midwest, Ireland

Journal of Hospital Infection (2024) 145, 88-98



感染予防の中心的な教義は、医療器材の安全な使用に関する Spaulding 分類体系の適用である。1950 年代に最初に定義されたこの体系では、器材および表面が、患者にどのように用いられるかに応じてクリティカル、セミクリティカルまたはノンクリティカルであると定義される。様々な水準の消毒または滅菌として定義される、異なる水準の抗微生物処理が、患者の感染リスクを低減するために適切と判断される。しかし、微生物の不活性化に重点を置くことは、この懸念に対処するためには不十分であることが、特に日常の医療機関での業務において明らかにされており、洗浄と、許容できる水準の清浄度の達成が、十分に認識されていないものの重要であることが強調されている。1950 年代以降、微生物学の理解が深まり、Spaulding 分類の再評価につながるとともに、適切な洗浄度の達成が同等に重視されるようになっている。表面に残留物質が存在すると、微生物を不活性化する抗微生物処理の効果が妨げられる可能性があるとともに、器材の損傷、機能不良、生体適合性などの患者に対するその他のリスクも懸念されることから、十分に認識されていないが、洗浄は常に重要である。残念なことに、この点が引き続き重要であることは、期待された処理の失敗に起因する器材関連感染およびアウトブレイクの発生に関する文献中の報告によって証明されている。これは、部分的には、器材の機能および再利用の高度化や、対応するメーカーの使用説明書の複雑化を反映している。結果として、本稿は、現代のこのような技術的課題および患者リスクの課題に取り組むための、従来の Spaulding の定義を補う、新たな洗浄分類体系の最初の説明および推奨となる。この定量的リスクに基づく分類体系では、器材の機能の複雑さに基づく効率的な洗浄の課題を、洗浄に影響を及ぼす独立した変数として強調する。この洗浄分類を、Spaulding 分類と併用することにより、様々なメーカーや医療機関の間で、再利用可能な医療器材の洗浄リスクに関する情報提供が向上し、確立した洗浄業務が改善される可能性がある。この新たな洗浄分類体系は、重要な医療器材をサステナブルかつ安全に再利用するための、今後の作成、設計思考、ふさわしいイノベーションに有用な情報ももたらす。

サマリー原文(英語)はこちら

監訳者コメント

Spaulding 分類の是非に関する論争は、長い間続いている。Spaulding 分類が日常医療業務に与える影響は大きいことから、この分類について変更することについて専門家同士でよく検討を加えていく必要がある。

同カテゴリの記事

2006.02.28

Using an integrated infection control strategy during outbreak control to minimize nosocomial infection of severe acute respiratory syndrome among healthcare workers

2007.11.30

Control of the duration of urinary catheterization: impact on catheter-associated urinary tract infection

2013.02.28

A benchmark too far: findings from a national survey of surgical site infection surveillance

2012.04.29

Microbiological comparison of a silver-coated and a non-coated needleless intravascular connector in clinical use

JHIサマリー日本語版サイトについて
JHIサマリー日本語版監訳者プロフィール
日本環境感染学会関連用語英和対照表

サイト内検索

レーティング

アーカイブ